*別れの初め ページ4
「……!……!」
それに気づかず。私は必死に抵抗しているのに、手を掴めない。
神よ。私は
最初から生きる価値の無い人間だったのですか?
『苦しい?それは、"私"が今まで殺してきた様々な人達の苦しみ』
これが罰。
私はいっぱい人を殺してきた。
中には、子供もいた。
でも……私は慈悲も情けもかけずに、葬った。それは
自分が勝ちたいが為に。
『夢を奪った。人生を奪った。ねぇ、悪役の結末を知ってる?』
「悪役の結末は……」
どれでも、決まっている。たった一つだけ。
『「死」』
真っ直ぐ決められた私の運命の道。
なら、進もうではないか。歩もう、私と"私"。
「………」
冥土へ冥界へ。二人一緒なら、恐くないでしょう?
「失礼致します。A様、お夜食を__
A様!?」
「どうしたのよ……!は、なにこれ……嘘。こんなことがぁ……?」
地獄での拷問も尋問も何ともない。
「A様、A!眼を開けてくださいまし!どうか……眼を、覚まして……っ」
そして悪役の怪物は、良い役の勇者に成敗されましたとさ。
「A様ああぁぁぁああああ_____!!」
◆
ジャーファルside
今朝のことだった。
卦凰帝国の女帝が、昨夜、息を引き取ったと伝達が来たのは。
国は哀しみに包まれた。
それは、彼女が死んだからではない。
これから残された私達を護るのは誰だ。
あの人が死んでしまったら、私達は殺されてしまう。
怒りを私は覚える。
「どうして……彼女に伝えられなかった」
自分に対しての。
こんなことになるんだったら、伝えればよかった。
いつの時に?
彼女が幸せと感じていた時に。
大仏昔だ。
それでも私は彼女に伝えたかった。
「私も愛しています」
閉ざされた棺へと触れる。
中には死んだのに、変わらず美しい彼女が眠っているのだろう。
でも、見る気は起きなかった。
今よりもきっと、もっと
「……っ貴女を愛しています……」
泣いてしまうのだから。
「ジャーファル殿」
泣いている所、神覇殿がやって来た。私は涙を拭いて、振り返る。
神覇殿も悲しいはずだ。なのに、
悲しい空気ではなかった。それよりも、今よりも苦しそうでいた。
「此方へ来てください」
◆
私はA様の部屋へと連れていかれた。
「これは……どう言う事ですか?」
彼女の部屋には、シンもいて、だがそれにあの発言ではない。
目の前の出来事に驚いたのだ。
「何故ここに彼女が眠っているのですか?!」
変わらず美しい__A様が、ベッドの上で
眠っていることに。
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