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*別れの初め ページ3

Aside

「今日一日、御休みくださいませ」

そう告げた神覇に、返事の代わりにこくんと頷いた。

神覇は失礼しました。と言って、部屋から出ていった。

「………」

もうこれで思い残すものは無い。

あっという間に人生と言うものは過ぎていく。ならば、その前に、

ずっと想っていた言葉を言えば後悔などしないんだ。


『本当にそうなの?』


誰?


『私は貴女。貴女の気持ち』


嗚呼。だから、さっきの言葉なのね。


その"私"は姿を現した。
彼女の姿は幼い頃の私の姿だった。

"私"が言う。

『欲が出ている。怪物の私に、欲が。私は死にたくないって思ってる』

「………」

『別に無理に喋らなくてもいい。言葉を並べれば、伝わるから』

どう言う事かわからない。

けれど、並べると言う動作を私はしてみた。

「私が欲を出しているの?」
『ええ。そう。私は欲を出している』

動作は合っていた。言葉は"私"に伝わったようだったから。

『もっとジャーファルといたい。ジャーファルと話したい。ジャーファルと、ジャーファルと……って』

『欲を出しすぎると、私が"私"を支配するわよ』

支配とは意味がわからない。

私を支配できるのは、私と、神と、家族と、おばさんだけだもの。

けれど

『ほら、"私"も入っているでしょ?』


"私"は私を支配できる。


『でも、私達はここにいちゃダメ。
私達はこの時の住人じゃないから。潔く死ななくちゃ』

"私"が近付いてくる。

私の頬に触れる。それから、唇に触れる。眠くなるような行動をとる。


『世界の、運命の、歯車が、狂うから』



そして首を絞める。



私は抵抗する。けれど、止められない。

何故、なんだろう。


考えて。
私の首を閉めているのは、"私"。


"私"は私。私は"私"。わかった?



私が私の首を絞めているから。

*別れの初め→←会うは別れの初め。



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設定タグ:マギ , ジャーファル、恋愛   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:暁の雨 | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2017年4月23日 15時

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