検索窓
今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:1,412 hit

会うは別れの初め。 ページ2

ジャーファルside

「最近、卦凰帝国からの品物が渡らなくなってきているんだ」

シンに呼び出されて、私はその話を聴いた。

品物が渡らなくですか。

「考えられるのはやはり、不都合ででしょうか」

「うむ……だが、いくら連絡を取ろうとしても、取れないんだ」

それはどうしたんだろうか。

あの時の夜をふと思い出す。
そう言えば、あの時は何故か、泣いたなと。

「きっと大丈夫で___」
と、その時バアンッと扉が思いっきり開いた。

その方向を驚いて見ると、菊犂殿と神覇殿、そして

「A様?」

菊犂殿の腕の中には彼女がいた。
とても、やつれている。強気な彼女が、弱く見える。

はぁはぁと荒い息をしながら、言う。

「……じ……や、ふあ……ん……」

なんと言ったのだろうか。
彼女は、呂律が回っていない。何故だろうか。

「ジャーファル殿。此方へ」
「……はい」

神覇殿に言われ、私はA様に近付いていった。

A様は力弱く微笑む。

「はあっ……っ……ああ、あえ、た……」
と。

そう言ってA様が私の頬に手を添える。訳がわからなく、私は聴いた。

「これはどう言う事ですか?」

「……A様は、もうすぐ死に至ります」
「は?」

急にそんな事を神覇殿が言う。

けれど、冗談では無いようで。神覇殿は、真剣に此方の眼を見つめる。

「………」

A様はただただ、私の頬を撫でて、幸せそうに微笑む。

すると、

「もうこれまで!」
と、菊犂殿が大きな声で制した。

A様と私を引き離して、帰ろうと足を進めた。私は慌てて、言う。

「待ってください!もう少しだけ__」


「わからないの!!?」

菊犂殿はキッと此方を睨み、言う。

「あんたらのせいで、A様がこうなってるのよ!あんた達が、関わらなかったら、いまこうなってなかったのに!」

今まで溜めていたものを解き放つかのように。
菊犂殿が叫ぶ。

「A様は!……永遠の時は生きられない。でも、こんな早くに死期は迫ってこないのよ!

この意味がわかる!?」

わかる。
だってそれはつまり、

「私達が情を与えてしまったから__」
きっとそうだ。

《天使》になり、情が薄れていた彼女。
そんな彼女に、私達が情を与えて人間味を戻してしまった。

いけない事だった。

「あいあ……と……お……あいし、え……う」

とA様が何かを言った。何を言ったか、わからなく、聴こうとしたが

菊犂殿は足を進めて、神覇殿も行った。

その言葉は後でわかった。
彼女は私にこう言っていたと。


『ありがとう、愛してる』

*別れの初め→←プロローグ



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (4 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1人がお気に入り
設定タグ:マギ , ジャーファル、恋愛   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:暁の雨 | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2017年4月23日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。