親友ポジは我慢しない【北信介】 (ページ8)

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私が見つけた落し物ページ8

「みんな！いよいよ本番やで！！
あと30分や。少し休憩なー。」

委員長のその声で
私達はどっと緊張をほぐすように

トイレへ行ったり、友達と話すなりなんなりしていた。

そんな中私はというと

『なんっで私は雑用係やらされてるんや！』

ジャンケンに負けた罰でゴミ出しをやらされていた。
そもそも、ジャンケンしようと言い出したのは
私やないし！！

私やって少ししか出番あらへんけど緊張しとるし！

ブツブツと文句を言いながらも
ゴミを捨てに向かうと

私の足元で何かがコツンとあたった。

一旦ゴミ箱を置いてその何かを見てみる。

『これ…メガネ？誰のやろ。』

拾ったのはメガネ。
大きさから見て多分男子の。

でもメガネだから名前なんて書いてるわけないし。
持ち主に心当たりがある訳でもないので

とりあえず持っとくことにした。

後で落し物センターに届けよ。
そして校内放送してもらえばいっか。

そんな考えに至り、私は考えるのをやめ、
そのままゴミを捨てに行こうとした。

『え、ちょ！！』

しかし不幸は続くもので
今度は普通の段差に引っかかって

転けてしまった。

しかもゴミをぶちまけるような形で。

アホみたいな出来事に
若干頭が追いつかないのでしばらく放心状態。

『っ！やばい！ゴミが！！』

あれよあれよという間に散らばってしまった
ゴミを焦って拾う。

なんだかバカバカしく思えてくる。、
私は変なドジかましてせっせと片付けているのに

みんなは、色んなことしてるんだろうな。
ヒロインも、そのみんなも。

侑くんだって、角名くんだって、治くんだって

もう、私なんかよりヒロインの方に＿＿

「これは盛大にやらかしたな。随分おもろいことするんやな。海川も。」

私の手に重ねられた暖かくも優しい
北さんの手。

優しさが体中に染み渡り今すぐ泣きそうになる。

泣いちゃダメだ。
もうすぐ本番だろ。しかも
さっき北さんの前でボロボロ泣いたじゃんか。

これ以上、私を弱くしたくない。

もう、やだ。

何もかも、いやだ。

侑くんに撫でられた頭も。治くんに握られた手も。

今は冷たい。

全部冷たい。

だから私は、
もう分からなくなった気持ちをそのまま貴方に

捨てていくよ。

『北先輩。

好きです。』

落し物なんて

そこら中にあるから。