宮侑の心情5 ページ7
『あはっ、ひひっ、し、しんどすぎる…。
何でこんな笑えんねやろ。あははっ、ははっ!』
俺の耳に丁度いい
自然な声で笑う。海川は笑う。
久しぶりに見たようで、どこか懐かしさを感じる
その笑みに
俺は表情をぴくりとも動かさずに見ていることしか
出来なかった。
「ほんま、変な奴。」
『いやー。みっともない姿見せてもうたわ…。』
ようやく笑いが収まったのか
今度は苦笑いを浮かべている。
他の奴らの前、岡は除くとして_
こんな表情をコロコロ変えるの
俺の前だけなんとちゃうか_。
ああ、ダメや。ほんま、ダメ。
こうでもせんと
やってられへんからな。俺。
振られても尚、優越感に浸るとか、
往生際が悪いにも程があるやろ…。
しかも海川のやつ。
どうせまだ北さんのこと諦めきれてないんやろ。
告白すらしてないんや。
諦め切れるわけない。
告白しても、諦めきれへん俺が
おんねんやから。
「見せればええやん。いくらでも。」
『はい?』
「見せればええ。みっともない姿なんか、いくらでも見ければええ。俺は、何も言わへん。ありのままの海川が見られればそれでええんや。」
気付いたらこんなセリフ。
くっさいセリフやなぁと我ながら思う。
こんなの諦めきれてないって
言うとるようなもんやん。
ああ、ああ、ああ、
今にでも叫びたい。
まだ大好きやって。叫びたい。
でもそんな事言えへんのんや。
北さんには何もかなわへん。
『あ、はは。変なこと言い出すなあ。
ちょっと前までの宮くんなんか、敵意むき出しのそれこそ野獣やったやんか!』
そう言い出す海川の顔は
今度は
少し、ほんの少し
恋する乙女の表情に見えた。
俺はそんな諦めざるをおえない顔をされても
北さんに嫉妬してしまう。
でも、どうか今のこの時間だけは
俺の海川で居させてくれ。
頼む神様。
「人間は変化する生き物なんやでー?気持ちも、な。」
『ほーん。そんなもんか。』
興味なさげに反応した海川やけど
分かるよ、その顔で。
わっかりやすい表情で
言っとるで。
"私にもまだチャンスあるんかな?"ってな。
協力なんて死んでも嫌や。
だけど…
『え、ちょ、何するんや!』
「バカやなあほんま。」
少し背中を押してやらんでもない。
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とーうえ れーと - 好きです。頑張ってください。 (1月22日 21時) (レス) id: 52d6184189 (このIDを非表示/違反報告)
みどぅ(プロフ) - 待ってます。 (11月1日 23時) (レス) @page10 id: eaf6f0c936 (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - 面白かったです!!更新大変だと思いますが待ってます!!! (2022年12月25日 11時) (レス) id: e0ce628341 (このIDを非表示/違反報告)
このちゃ - むっちゃ面白かったです……ドロドロやなぁぁぁぁあ!!!!さいこうぅぅぅぅ!!!!! (2022年12月13日 21時) (レス) @page10 id: 0eb447a2e9 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - きたさんんんんん (2022年11月26日 21時) (レス) @page10 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆらゆな | 作成日時:2022年9月18日 7時