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44.「折角探したっていうのに」 ページ3

「……突然、なにを言い出すんだ。悲しむに決まっているだろう…?」



カラ松は目を見開き、凛とした眉を精一杯はの字にして私を見つめた。


突然何を言い出すのか、というような目つきだった。



「……だって、私が居なくてもこの世は終わらないよ。誰も、私に気がつきなんてしない。」


「それを言ったら俺だって同じだぞ?現に今、怪我をしているというのに何も起きない。」



違う。


カラ松はまだ分かっていない。

自分がこの世の中でどんな存在なのかも、自分の立場も。



「そうじゃない、そうじゃないんだよカラ松。カラ松やおそ松たちが居なくなったら駄目なんだよ。私なんかは消えちゃえばいい、必要じゃないから、」




話の途中で、頬に鋭い痛みを感じた。




「…、カラ松……?なんで……」



「必要じゃなかったら、なんで今此処に居る。」



心臓が、跳ねた。



ばくばく、ばくばくと血を循環させ、頭から血の気が引いていく。









「もしAが本当に要らない奴なら、とっくに死んでいる!要らない奴に生きる意味なんて無いんだから!!というか、要らないって何!?そんな奴を世の中に放り投げるだけ無駄だろう!!そんな奴が居てたまるか!!みんな誰かのために必要で、それ以上に自分のために必要とされている!!!要らない奴なんて居ないし、俺らはお前を必要としている!だから、だからもう、自分を要らない子だと思わないでくれ!!!」






「……え、」



「………あ、わ、悪い…、つい、頭に血が昇って…!!ごめんな、痛かったろう?……あ、そうだ、そこの水飲み場の水で冷やそう。」




あんなに必死になっているカラ松なんて久しぶりに見た。


そういえば、昔は怒りん坊でカラッとした人だったのを思い出した。




「……ううん、大丈夫。……カラ松は、私を必要としてくれるってこと?」



私がそう問えば、カラ松は慌てふためいた顔をふっとあげて、今度は爽やかで愛らしい笑顔を見せて、うん!と言った。



「俺だけじゃ無いと思うぞ、とりあえず十四松は絶対に必要としてくれるさ。きっと、俺たちの中の誰よりも、な。……本当、正直呆れただろう?あんな寒い中、ドングリを広げてただ待っている兄なんて。」



カラ松は嬉々としてそう語る。

誰よりも弟思いの彼のことだ。きっと今の言葉も本心ではないのだろう。



「……そうだね。…でも、十四松がくれたドングリは7つあったんだよ。………、それだけで、全部許せちゃうよ。」

44.「こいつはすごいや」→←43.「お金持ちの家の方が良いもん。」



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設定タグ:おそ松さん , シリアス   
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紫垣(プロフ) - 続きが待ち遠しい!!……もっと見つけるのが早かったらまだ更新続いてたのかな( ; ; ) (4月18日 5時) (レス) @page21 id: f62f374630 (このIDを非表示/違反報告)
燎_*(プロフ) - 更新停止……だと!?!?!?誰か、!!この作者を呼び戻してこい!!! (1月17日 3時) (レス) @page21 id: 4b8e8fd2cd (このIDを非表示/違反報告)
低浮上な塩なんだなあ(プロフ) - つ、続きは…続きは何処ですか…!?!?(血涙)更新をずっと楽しみに待っております…… (10月30日 2時) (レス) @page21 id: 6cf2860157 (このIDを非表示/違反報告)
みゆ - この作品が大好きです。更新待ってます! (6月4日 22時) (レス) @page21 id: 395eb4f5e7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらっち(プロフ) - 何年でも更新を待ちます。 (2022年5月15日 0時) (レス) @page21 id: ab3ad11547 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:竹ノ狐。 | 作成日時:2016年1月17日 17時

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