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みっつの障害 ページ4

「あ、やっべ。」

時計に目を落とすと、『3:45』の文字。
真ちゃんと約束した時間を15分も過ぎていた。

「どうしました?」
「いや、友達と約束してた時間をやぶっちゃって。」
「それはいけないわ。はやく戻ってあげてください。」

彼女は周りをきょろきょろと見回すと、

「あの人ですね?」

と一人の男を手で示した。
緑色の頭と高い身長。何より、俺を睨むあの鋭い目はまさしく真ちゃんだ。
真ちゃんは両手に十冊もの本を抱えており、いかにも『早くしろ』と言っているようだった。

「じゃ、俺行くんで。」
「あ、それじゃあ……。」

彼女は自分の持っていた『恋の厚い壁とそれを壊す方法。』というさっきの本を俺に渡した。

「あなたに読んでほしいので。私は毎週この時間にいますから。おすすめの本も紹介します。」

そう言った彼女は真ちゃんに深々と頭を下げ、俺に手を振って再び本の波の中に飲まれていった。
渡された本の表紙は淡いピンク色と青、黄色の絵の具が落ちたような感じで、
人の心の中を映しているみたいだった。

いつもは読みもしない本がどうも気になり、真ちゃんと別れると近くのマジバによって早速本を開いた。
結局第一章しかよめなかったけど、中にはこんな文が書かれていた。

『私はただ、片方の腕がないだけなの。それ以外、他の人と何にも違わない。それなのに何で、私の事を見る目が違って、私にやさしくするの?普通でいいの。何にも変わらなくていいの。』

と。
俺はこの文を読んで、いつもの自分が変に感じられた。

一度だけそういう人を見たことがある。補助犬を連れて、電車に乗ってきた若い男の人だった。
俺は彼を見て、なるべくかかわらないようにと違う車両に移動した。
他に乗っていた人もそうだった。でもそれは逆に、彼を傷つけていたのだろうか。
目が見えなくて、耳が聞こえないにしても、気配くらいは分かるはず。
暗闇の中、自分から人が離れていくことがわかるのはひどく悲しい事だと思った。

「俺は……。」

急に自分がわからなくなり、家に帰ってもボールに触らずに本を読み続けた。

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設定タグ:黒子のバスケ , 黒バス , 高尾和成   
作品ジャンル:恋愛
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にゃー助(プロフ) - 夕凪葵さんの作品大好きです!いつも見てます!だから、今回の雑談の落ち着きには、少し驚きました(笑)でもなんか、『夕凪葵さんだ…』と思えました(笑) (2014年5月7日 17時) (レス) id: e493149bc6 (このIDを非表示/違反報告)
檸檬 - やばいです!高尾君かっこいいっ!更新頑張ってください。応援してますっ (2014年4月30日 23時) (レス) id: d7d9fa8f30 (このIDを非表示/違反報告)
イリス(プロフ) - 夕凪葵さん» あたしも影山好きです(*´∀`)ストーリーもいいですもんね( ´艸`)弱ペダもTOHOanimationなのでお話の雰囲気が似ているし、ストーリー重視なら見ているうちに引き込まれていきますよ(*゜д゜*)あたしも最初はなんとなく見ている感じでしたし( ̄∇ ̄) (2014年4月29日 10時) (レス) id: 188bada48d (このIDを非表示/違反報告)
snow-rabbit(プロフ) - Twitterに書かせて貰いました!! (2014年4月28日 19時) (レス) id: 84b2ac84db (このIDを非表示/違反報告)
夕凪葵(プロフ) - イリスさん» ありがとうございますです。ハイキュー、ツッキーと影山が好きです。弧爪くんもかっこいいですよねー!弱ペダは絵がどうもダメで見てないんですが、みんなカッコいいみたいですね(*ノωノ) (2014年4月28日 19時) (レス) id: 9ee3e9c412 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夕凪葵 | 作成日時:2014年4月16日 19時

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