検索窓
今日:6 hit、昨日:31 hit、合計:53,114 hit

ふたつの障害 ページ3

失礼なことを言ってしまった。
俺は後悔し、口を閉じた。

「ヘレンは、」

本から俺に目を向け、彼女は真剣で、でも温かみのある口調で話し始めた。

「ヘレンは、自身の先生であるサリバンと一緒に、それを克服したんです。日本に来たことだってありますよ。」
「へえ……。」

いつもならどうでもいいことのはずなのに、彼女が自分の事のように話すから、短い話しなのに聞き入ってしまった。
克服したって言っても、病気がなおったってことじゃない。
話せるようになった。症状が軽くなった。
そんなことじゃなかったかな。
それでも、障害を持つ人には大きな進歩なのだと彼女は言った。


「この本は、障害を持つ女の子がやさしい青年と出会い、恋をするお話なんです。」

彼女は自分の持っていた本をなでながら言った。

「これで20回目です。この本を読むのは。」
「にじゅっかい!?」

彼女は図書館ではお静かに、と唇に人差し指をくっつけながら言った。

「どうしてもあこがれちゃうんです。私は高校も通信制だから、こんな出会いはないし。」

俺が読んだこともない分厚い本を開き、パラパラとページをめくった。

「私にも、こんな出会いありますかね。」

あまりにも彼女が儚く微笑んだせいで質問は耳に入ってこず、俺はただ

「あるんじゃ、ないっすか…。」

と、なんとか聞こえた言葉を脳内修正してそう言った。

みっつの障害→←ひとつの障害



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (137 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
164人がお気に入り
設定タグ:黒子のバスケ , 黒バス , 高尾和成   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

にゃー助(プロフ) - 夕凪葵さんの作品大好きです!いつも見てます!だから、今回の雑談の落ち着きには、少し驚きました(笑)でもなんか、『夕凪葵さんだ…』と思えました(笑) (2014年5月7日 17時) (レス) id: e493149bc6 (このIDを非表示/違反報告)
檸檬 - やばいです!高尾君かっこいいっ!更新頑張ってください。応援してますっ (2014年4月30日 23時) (レス) id: d7d9fa8f30 (このIDを非表示/違反報告)
イリス(プロフ) - 夕凪葵さん» あたしも影山好きです(*´∀`)ストーリーもいいですもんね( ´艸`)弱ペダもTOHOanimationなのでお話の雰囲気が似ているし、ストーリー重視なら見ているうちに引き込まれていきますよ(*゜д゜*)あたしも最初はなんとなく見ている感じでしたし( ̄∇ ̄) (2014年4月29日 10時) (レス) id: 188bada48d (このIDを非表示/違反報告)
snow-rabbit(プロフ) - Twitterに書かせて貰いました!! (2014年4月28日 19時) (レス) id: 84b2ac84db (このIDを非表示/違反報告)
夕凪葵(プロフ) - イリスさん» ありがとうございますです。ハイキュー、ツッキーと影山が好きです。弧爪くんもかっこいいですよねー!弱ペダは絵がどうもダメで見てないんですが、みんなカッコいいみたいですね(*ノωノ) (2014年4月28日 19時) (レス) id: 9ee3e9c412 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:夕凪葵 | 作成日時:2014年4月16日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。