百十九話 焔様なる者 ページ41
「……後は任せるつってどっか行きやがったぞあの
ほんっとねぇわ彼奴、とグチグチ言いながら、街の人たちの視線を集める男一人。
A・テオ・ヴァレンティーン改め、水流Aは、この街で一体何をすればいいのかわからずにただ彷徨っていた。
だって俺何も聞かされてないんだもん、俺悪くないもん、と。
任務先を教えてくれたのは良いが内容までは教わっていないA。
もし文句言われても知ったこっちゃ無いと責任を全てフロウになすりつけることにした。
だって俺本当に悪く無いし。
………ちなみに、集合場所も教えてくれなかった。
_____と、そんなこんなで何やら人たがりが出来ていた。
………え?と流石に立ち止まったAの周りに、円状の人だかり。
まるで野次馬のようにカバディし始めた街の人々に、Aは立ち尽くした。
_____俺なんか無意識にやらかした?と。
経験上、無意識のうちに何かをやらかして仲間に半殺しにされた事多々ありのA。
過去の傷がズキリと痛み始めた胸を苦笑いで抑えて、ゆっくりと視線を這わした。
まるで見ていることに気がつかせないような自然な視線の運び方に、野次馬のように群がった人は、皆表情を変えた。
「ああ………この方が、きっとA様だ……」
__________。
「そうだ、焔様が仰っていた通りの……!」
_______________え、待って?
「晴れた空の髪……高い背に、美丈夫、間違いない」
__________ゑ?
ひくっと口元を引きつらせ、思わず後ずさったAに、追い討ちをかけるかのように。
「A様、どうかこの街をお救いくださいませ……っ!」
オロオロと膝をつき、許しを乞うように両手をあわせ始めた人達。
放心状態だったAも、はっと我に帰りこの現状の異常さに目眩がした。
なんなんだ、一体。
「え、えっと……とりあえず、なんで俺を知ってんすか…?」
あと立ち上がろうぜ皆のもの。
「焔様がこの街においでくださった時に仰られていたので御座います」
「いや焔様て誰〜〜〜」
思わず突っ込んでしまった。
この人らが口々に言う焔様とは何者なんだよと殴りたくなる衝動を抑え込みながらも何とか落ち着けと心をなだめる。
怪奇なる現状、まるで宗教だ。
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極暇人(プロフ) - いえいさん» コメントありがとうございます!天才だなんて恐れ多い……!とても嬉しいです!これからもよろしくお願いします! (2020年2月1日 6時) (レス) id: d0beec2789 (このIDを非表示/違反報告)
いえい - やっぱめちゃくちゃ面白いです!主さん天才!(^o^)更新頑張って下さい! (2020年1月31日 20時) (レス) id: 482fd09204 (このIDを非表示/違反報告)
極暇人(プロフ) - 雨鷽さん» コメントありがとうございます!応援コメントは糧になりますので、本当にありがとうございます!これからもよろしくお願いします! (2020年1月22日 18時) (レス) id: d0beec2789 (このIDを非表示/違反報告)
雨鷽 - とても面白かったです!新しく更新されていたところを毎日見てますwこれからも更新頑張ってください! (2020年1月22日 18時) (レス) id: 7a91fc9f4d (このIDを非表示/違反報告)
極暇人(プロフ) - 大木さん» コメントありがとうございます!よくよく考えればそうですね、すいません……訂正しておきます。これからも宜しくお願いします! (2020年1月17日 13時) (レス) id: d0beec2789 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:極暇人 | 作成日時:2020年1月14日 20時