夜空を眺める、君を想う。【高尾和成】

想って９ ページ9

美術室の前を通る。


…なんとなくだった。



…ただ、なんとなく

美術室の中を覗いた。






「落ち着け。」





.




二人が抱き合ってる姿。




やっぱり、付き合ってたんじゃん。






俺は、見守るしかねえのか…





なあ、A









.





好きだぜ。





口になんて出せるはずもなく



ただ、俯いた。




ガラッ

急に開いたドアから出てきたのは
真ちゃんだった。

「来い。」

真ちゃんに言われて、隣の空き教室に入る。

すると、足音が
だんだん遠ざかって行った。

Aは行ったらしく
真ちゃんはやっと俺の腕を離した。

そして、何も言わずに廊下を歩いていく。


「っくそ！なんだよ！」

押し殺した感情が漏れて

隠そうとも思わなかった。


ふぅ、と息を吐き

戻りたくはないけど教室に戻る。

案の定、囲まれて


一人になりたい、という気持ちを察してくれる奴は誰もいなくて


…黒子とかなら気が付くのかな



なんて、くだらないことを考えた。





考えることを辞めると


どうしてもあいつの顔が浮かんできちまうから。



外は、真っ黒い雲が空を覆っていた。



【曇り空。】

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