夜空を眺める、君を想う。【高尾和成】

想って２４ ページ24

「っお前ら、何やってんだよ！」

いつもなら優しく言えたかもしれないけど
感情的になっちまった。

「きゃっ！違うの、斉藤さんが！」

腕を掴むと、小さく悲鳴を上げた女子。

叩かれても何も言わなかったAとは大違いで
別に強くつかんでるわけでもないし。

睨むと、女子はすぐに逃げて行った。

「…大丈夫？」

とりあえず手を差し出して、その腕に触れた

その瞬間


「っ触らないで！！」



＿＿＿振り払われた。

…当たり前だな。

さっき俺、酷い事言ったし
嫌われて当然だ。


でも、やっぱり…さ



嫌われんのは嫌だ。


「助けてくれて、ありがとう。

…でも、
私の事が嫌いなら
助けになんて、来なくていいんだよ？」


少し目を伏せて呟くAの表情は
少し悲しげだった。



「なっ…

なんだよそれ！

別に俺は…」


嫌いだったら助けになんて来るわけないだろ。

その一言を、飲み込んだ。


なんで、言えないんだろう。





「ありがとう。じゃあね」



遠ざかって行くアイツの背中がやたらとちいさくみえて



「っくそ…」


呟いた言葉は

何度目だろうか。






【嫌い。】

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