猫被ってたら彼と出会って、今はとても幸せです。【赤司征十郎】【高尾和成】

猫かぶり５６ ページ1

…好きってなんだろう。


私は、赤司の言うとおり
帰路を辿っている。

先程から携帯が震えているけど
出るつもりはない。

隣には、和成。


好き？

私は誰が好きなんだろう。

いや、どちらが好きなんだろう。

どうしたらいいのか、分からない。


さりげなく車道側を歩いてくれている和成
私を助けてくれた赤司

告白してきた和成
他の人たちと楽しそうに話していた赤司


自分の感情が、


心が


何を求めているのか


何もわからなかった。


「じゃあな！またメールすっから。」

いつも通りにこっと笑って帰っていく和成。

夕日が彼の顔を照らしていて
少しだけ、胸が高鳴った。

自分の部屋に入って、ベッドに倒れ込む。

携帯をチェックすると、３つほどメールが入っていた。

最新のものを開けると、和成から。

"今日は楽しかったぜ。
返事はまた後ででいいから



元気出せよ"

文字を読むと、和成のあの笑顔や
あの香りが甦ってきてしまう。


２通目は、赤司から。

"送っていかなくて大丈夫か？"

帰ると連絡したときのモノだろう。

送っていくよ じゃないんだな

なんかデジャヴ…

３通目は、さつきから。
イライラは、もう消えていた。

"大丈夫？
襲われないように気を付けて帰ってね！
何か話したい事でもあったら遠慮なく電話してね"


話したい事。


あの時の、モヤモヤの正体

赤司の事

和成の事

今、私はどうしたらいいのか



私は電話帳からさつきという文字を見つけ
通話ボタンを押した。

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