クリスマスの夜に2 ページ2
「遅れてごめん」
思わず顔を上げるが、その声の主は彼ではない。
私の横をすり抜け、可愛い女の子と笑い合っていた。
ツリーの点灯式まで、あと30分。
「何で来ないんだろ…」
口に出してみるが、当たり前のように返事はない。
本当ならば自分も、周りで幸せそうにしているカップルたちと同様に
…彼と笑い合っていた筈なのに。
5日前の、彼の誕生日。
彼の家に向かってはみたものの、インターホンを押しても返事はない。
もう学校は休みに入っていて、家にいると思っていたが部活でもあるのだろう。
そう思うことにして、家を後にした。
誕生日プレゼントを手に家へ戻るのは
少し悔しくて虚しかった。
きっと彼の事だから、自分の誕生日さえも忘れているんだろうな。
そう笑ってみたが、本当は分かっていた。
彼はそこまで馬鹿じゃない。
増してや恋人がいるのだから、
本当にその恋人__私を愛してくれていたのなら
その日はむしろ楽しみであるのではないだろうか。
その日の夜、もう一度彼の家に行ってはみたものの
彼の部屋に光は灯っておらず、結局プレゼントを渡すことはできなかった。
私は彼に愛されていないのではないだろうか?
そう思い始めた、キッカケだった。
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作者名:裕 | 作成日時:2014年12月20日 10時