桜の葉が散った後に。【笠松幸男】

cherry tree １１９ ページ29

外の、体育館の前に来て
結城原サンは私を見た。


「笠松君とはどうなったの？」

「え？」


「だから、あのあと笠松君とどうなったのって聞いてるの。」

その言い方に、何故かイラついてしまって


「あなたこそ。

笠松さんに告白してたけど

本当に好きだったの？」




意味の分からない質問をしてしまった。


結城原サンは、少し驚いたような顔をして
目を伏せた。

「ええ。

好きだったのは、本当」



驚いた。



てっきり、遊びだったんだと思ってたから。


「じゃあ、なんで」


「ただ

本当に恋だったのかは、もう分からない。

もしかしたら、ピュアな恋がしたかっただけかもしれない。」




そう言う結城原サンの目は、嘘を吐いているようには見えなくて。


「それで。


笠松君に近づいて、少し強引だったけど
あなたが焦るくらいの事をして

それであなたと笠松君がくっつけば、それが本当に恋だったかが分かると思ったわ」


「＿＿＿＿＿どちらにせよ


もうかなわない恋になることは間違いなかったのだけどね」


結城原サンの声は、悲痛な声で。


それが、本当のことだって


直感してしまった。

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