桜の葉が散った後に。【笠松幸男】

cherry tree １０７ ページ17

「ごめんー、遅くなっちゃった」

駅前の噴水の前でちーちゃんを待っていると
ちーちゃんはそう言いながら走ってきた。

今日はバイトはお休み。

ということで、ちーちゃんと買い物に行くことになった。

「だいじょーぶ。

じゃあ行こー」

そういえばちーちゃんのお兄ちゃんもバスケをやってるらしい。
洛山っていう、名門高校らしくて、「なんで双子なのにこうも違うんだろうね」と
ちーちゃんはよく言ってる。

大通りで、良い雰囲気のお店を見つけて入ると
そこは、半分が女性向け、もう半分が男性向けの服を売っていて
他にも小物なんかも売っていた。

「これとか、A似合うんじゃない？」

そう言ってちーちゃんが私に見せてきたのは青と白の、ワンピース。

色合いも涼しげで、丈も短くはないし
秋の今には丁度いいんじゃないかな。

試着してみると、サイズもぴったりなのがあって
気に入ったので、買うことにした。



この服を着て、笠松さんと出かける、とかいいなぁ……


なんて

変な妄想をしてしまって

ぶんぶんと頭を振ると、ちーちゃんが呆れたような顔で私を見つめた。



「それ着て、笠松とどっか遊びにでも行ったら？」


「へ？」

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