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コンコン
春雨でも、特に重厚に作られた扉の向こうは、白を基調にした女の子らしい部屋。
レースやらフリルやらで着飾った天蓋が囲むベットは、まるでお姫様でも眠っていそうだ。
神「A」
貴「…何?」
貴「さっきの事は正当防衛だと思うけど」
神「分かってるヨ」
神「・・・それよりさァ」
不貞寝のようにAが横になっていたベットに、神威も腰掛けたものの、視線は先ほど自分も入ってきた扉を鋭く見つめたまま。
神「男と女が2人っきりで居る部屋に」
神「そんな気安く入ってくるもんじゃないヨ」
神「・・・晋助」
いや。睨んでいるは扉ではなく、そこにもたれ掛かる男にだ。
高「部屋に入って数分足らず」
高「そんなに女に飢えてるとわァ」
高「知らなかったぜ」
晋助と呼ばれた男は、先ほどの会合にもいた鬼兵隊総督。高杉晋助。
高杉は特有の笑声を漏らすと、勢いよく天蓋を開いた。
貴「・・・晋助」
ベットサイドに置かれたガラスの器に、カンっと煙管の灰が落とされる。
一気に充満したヤニの香りを、Aは自ら吸い込んだ。
神「お二人さん」
神「知り合いなの?」
そんな神威を置いてけぼりにした2人の空気を遮るうに、神威は不満顔でAの腰に手を回しす。
高杉を睨む眼は、先ほどよりもずっと気に食わなそうだ。
貴「まァ、」
貴「昔の戦友かな」
高「クックック」
高「そらァ連れねェなぁ」
高「A」
だけど高杉も、それに引くほど余裕では無い。
Aの腕を引き無理に立たせては、軽々と抱き上げた。
見せつけられた光景に、神威は瞬きを忘れて殺意を滲ます。
高「A」
高「ガキが寝る頃にでも呑もうやァ」
そう言って額にキスを落とした高杉は、Aを再びベットへ降ろす。
高「じゃァな」
高「A」
聞いた事が無いどこか陽気な声に、神威は今だ、眼を丸くしたままだ。
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作者名:み子 | 作成日時:2016年7月26日 20時