45 呼び出し ページ50
いつまでも
いつまでも
この幸せ〜な気持ちを楽しんでいたいが！
そうそうのんびりまったりもしていられない！
実は
ついさっき
この部屋に来る直前に
二宮からの結び文が届けられたのだ。
その結び文には
二宮らしい流麗な筆使いで
『葦のはら てふてふふわり ともつれて』
と書かれていた。
葦は、植物の『あし』のことだが
悪しに聞こえて嫌がる人がいるので『よし』とも読む。
つまり『あしのはら』とは
『よしのはら』→『よしはら』→『吉原』と読める。
それから
『てふてふ』とは蝶々のことだが
これは
屋号の紋が蝶々である大野屋のことだろう。
ようするに
この結び文は
葦の原っぱを、蝶々が仲間と連れだってふわふわ飛んでいる
という情景を書きながら
実は
大野屋に智三郎を連れて来い、という二宮からの指令だ
と風間は理解した。
何か話があるのだろう
それも
みやびに聞かせたくない話だ。
そうでなきゃ
わざわざ別の場所に呼び出したりせずに
二宮はここに来るだろう。
とにかく
それを大野屋に伝えなくては！
その思いを込めて
じ･･っと智三郎を見つめる風間の視線に
ただならぬものを感じ取ったのか
智三郎が
風間の方をチラと見た。
そのわずかな好機を逃さず
風間は
黒目だけをすばやく動かし
(ちょっっと向こうへ･･)
と襖の方を示した。
さすがは勘の鋭い智三郎。
小さく頷くや
「みやび、帰る前に
ちょっと用事を済ましてくるから
しばらく待ってておくれ。」
と言う智三郎に
何の疑いも持たないみやびは
素直に
はい、と言って静かに布団に横になった。
「おとなしく寝てるんだよ。」
と念を押しながら部屋から出て行く智三郎に
「早く戻ってきてね･･」
というみやびがいじらしい。
襖を閉めながら
どんどん狭くなっていく隙間からみやびの方を覗き
ヒラヒラと手を振る智三郎。
とうとう
ﾊﾟﾀﾝ･･
と襖を閉め切った智三郎が
切なそうに
はぁ･･とため息をつくと
風間が
「二宮先生が、大野屋でお待ちです。」
そっと耳打ちした。
智三郎は
それには何も言わず
小さく一つ頷いただけだった。
・
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
こちらもいっぱいになりました。
次回、新章に移行します。
もし
お時間があるなら
新章にも遊びに来て下さいね。
はっしーでした。
ばいばいっ！
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
新章、アップしました。
遊びに来てね。
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作者名：はっしー
作成日時：2018年5月16日 0時
