あつし ページ18
初めてだった。
紫「・・・」ホッ
好きってのんなのか、わかんなかった。でも今日わかった気がする。
お菓子なんかよりもーっと、大切で食べちゃいたいくらいかわいいもの。
『・・・』
息は落ち着いている。風邪で鼻詰まりだからかな、鼻からピーピー音がする。
柔軟剤の匂いがする。それが俺を安心させる匂いだった。
紫「好きだよー。Aのこと、何よりも守りたい」
おれだけの、宝物であってほしい。お姫様であってほしい。
手を握ると、ふにふにしてて暖かい。普通の女子よりは大きいけど、俺にとってはちっちゃい。
すると、寝ぼけてるのかわかんないけど、棒みたいな目したままAがかすれた声を出した。
『わたしだって、あつしのこと、すき』
棒みたいだけど、その奥では琥珀糖みたいな目がきらきらしてるんだ。
掛け布団から右手を出して、おれの頬を柔らかくなでた。あぁ。俺大丈夫かな。
また眠りについたA。黒い髪がつやつやしてる。まつ毛が長くて色白。なんか絵画の人みたいだった。
《あら、紫原くん!見守りありがとうねぇ。》
赤「教諭を呼んできたぞ。交代してもいい。好きにしてくれ」
息を荒くして赤ちんが連れてきた先生。ゆっくりAの調子をうかがう。
紫「おれ、Aの荷物まとめてくる。さっちんと一緒に」
Aは橙野と部活仲間しか友達がいない。そして今日は部活がないから吹奏楽部員はもう下校済み。おれらで準備しなきゃいけない。
椅子からたって、扉に向かって歩こうとした時、
パシッ
『いかない、で』
《あらぁ!》
手を繋がれた。胸がきゅ、と締まった。かわいい
紫「3分以内に帰ってくるから、大丈夫〜」
頭をぽんぽんしたら、『そ、か』って言ってまた寝始めた。よほど疲れてたんだなぁー。
──────────
桃「よし、OK♪」
紫「ありがとー。女子いて助かったー」
さっちんに手伝ってもらって荷造りできた。保健室に運んでAのベッドの横に置いた。
『おかえり、あつし。ありがと、』
紫「うん。ただいまー」
にこにこわらっている。状態が安定したのかな。
《今日が金曜日でよかったわねぇ、土日はゆっくり休んで。部活もよっ》
『はぁい。あ、ねぇあつし』
Aはベッドから起き上がって、おれに手招きした。
『おれい』
そう言って俺の手に乗せたのは、三つのチロルチョコだった。
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つゆロロ(プロフ) - あひるさん» ありがとうございます。荻原ちゃんの楽器についてですが、お好きなものを想像してください(笑)私的にはバリトンやユーフォなどの低音楽器をイメージしておりますが。初コメントうれしいです!これからもどうぞ、見守ってくだされば幸いです((*_ _) (2017年11月20日 19時) (レス) id: 3fbfa2c7b2 (このIDを非表示/違反報告)
あひる(プロフ) - 面白いです!更新頑張ってください!因みに夢主ちゃんの楽器はなんですか? (2017年11月20日 1時) (レス) id: a0a203a011 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:つゆロロ | 作成日時:2017年11月7日 0時