【黒子のバスケ】愛してる、なんて嘘。

Liar 04. ページ6

　
　しくじった。話、方向転換しすぎた。どうしようか
　

　そう頭の中で思考回路を巡らせれば予想外の返事が返ってきた。
　
　
　
　「暑いからね。何か買ってくるよ。」
　
　
　
　意外だった。自ら買ってくるなんていうのか、彼は。
　
　
　
　少し唖然としてしまったが、平静を装って近くの木陰のベンチに腰を下ろした。
　
　炎天下のアスファルトを歩くより断然涼しくて、気張っていた体から力が抜けた。
　
　
　暫く、ぼけーっとしていれば、彼が戻ってきた。
　
　
　そして、笑顔で差し出されたレモンの炭酸水を受け取る。
　
　
　
　『 ありがと。わざわざごめんね。いくらだった？』
　
　
　
　「いいや、気にするな。水分補給は大切だからね。」
　
　
　
　『 そっか、』
　
　
　
　世話焼きなところがある彼に笑みを浮かべてもう1度手渡された炭酸飲料を眺めた。
　
　レモンの炭酸水なんて、女子力高いな。しかもボトルデザイン可愛い。確か今話題のヤツだったっけ。
　
　
　
　「…瑠生が好きだったんだ。」
　
　
　
　『 へぇ。』
　
　
　
　適当に相槌をうっていても内心穏やかじゃない私の心。
　
　私には関係の無い話じゃないか。
　
　…んー。そうだね、元彼女さんは女子力高かったんだね。こんな可愛いものを好んで飲んでいたのか。

　
　そう、ひねくれた思考を展開して、レモンの炭酸水を喉に流し込んだ。
　
　
　
　
　
　
　…苦いなぁ。

　
　
　

　
　ベンチから立ち上がり、一気に飲み干して空になったペットボトルをべこり、と潰してからゴミ箱に捨てた。
　
　
　
　
　
　その後は特に何も話さず、2人して無言で家(私は寮)に帰った。

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