13,話して。 ページ15
「空呑さんはココで何しているんですか?」
彼は美しい眼差しで私を見つめてくる。
やっぱり昔と変わらない。色あせたモノクロの記憶を刺激する。
「まぁ…。色々ですね」
曖昧な返事をする。
これじゃダメかな、そう思ったものの返ってきたのは意外な返事で「そっか」と微笑む。
同一人物なのだから当たり前なのだけど、今朝思い出した笑顔によく似ている。
「そういう酒呑くんこそ何でココに?」
私の隣に座ろうとする彼に尋ねてみる。
「あ、あぁ。俺?」
その言い草から人間との会話には余り慣れていない事が感じられる。
私よりは人間に化けてからの月日は長いはずなのに、そう思ったのも束の間。
「偶々通りかかりましてね」
その回答からは月日の違いが感じられた。
やっぱり月日が違えば回答が違うのは当たり前か。
「そうなんですか」
そう言ったとき、葉が一枚ヒラリと私の膝の上に落ちてきた。
少々不気味だ。まだ夏真っ盛りなのに。
「そういえば、空呑さんは女の子と仲良くする方法知ってます…?」
何か悩んでいるのだろうか。
私には何故彼がそんなことを言っているのか全く理解ができない。
イケメンだし女の子からはモテると思う。それなのに何故彼がこんな事を聞くのだろうか。
「え…。モテたいって事ですか?」
普通に聞いてみる。
女の子が恥ずかしがっているのを自分が嫌いだと勘違いしているのか気になったからだ。
「あ…!そういうじゃ無いんです…!」
私の言葉を聞くや否や直ぐそう言った。
そりゃそうか。しつこいが彼はイケメンだしモテている筈だ。
では何故こんな事を聞くのだろう。正直わからない。
そもそも妖怪である彼が人間にモテたい、仲良くしたい。そういう感情を抱いているわけがないのだ。
「そうでしたか、失礼しました」
そう言ってからしばらく考えてみる。
彼が言う事が何を意味しているのか。彼は何に悩んでいるのか。
非力ではあるが彼の力になりたいのだ。
「えっと…素直にしてみたら如何でしょう…?」
これ以外思いつかなかった。
この言葉を聞いて少し彼は考えて「ありがとう」と言った。
「いえいえ」
力になれただろうか。
そう思いながら答える。
「空呑さん、ではまた学校で」
そう言えば彼は立ち上がる。
彼の髪が風でなびく。
「では」
私がそう言ったときだ。
「あぁ、そうだ」
何かまだ言いたい事がある様子。
「これからは敬語とっていいからね」
そう言い放つと彼は歩いて行ってしまった。
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ピカヒカリ(プロフ) - 妖姫海さん» お久しぶりです…!コメント、有難うございます!頑張ります!(妖姫海さんも頑張って下さい!応援してます!) (2019年5月23日 22時) (レス) id: c88429faf5 (このIDを非表示/違反報告)
妖姫海(プロフ) - やっぱりすごいですね・・・!!頑張って下さい!! (2019年5月23日 21時) (レス) id: 46d529bdf6 (このIDを非表示/違反報告)
ピカヒカリ(プロフ) - コロニャンさん» ありがとうございますッ…!嬉しいです…!!今から更新してきます!! (2019年5月12日 18時) (レス) id: f74e3a9ead (このIDを非表示/違反報告)
コロニャン - 何回読んでも、おもしろい (2019年5月11日 20時) (レス) id: a0b631ee37 (このIDを非表示/違反報告)
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