【文スト】其の女優の行く先は【アクタージュ】

幹部との邂逅。 ページ8

首領らしき男の人の奇声にも、芥川さん達は全く動じていない。平然とした表情で彼は云った。



「では、僕等は出直します」



「ああ、別に善いよ。俺から後で首領に伝えとくから」



気さくに云った少年が、不意に私の方を見た。



・・・ああ、まずい。此の感じは多分・・・



「・・・うおっ！?住野Aじゃねえか！?」



案の定の反応に、私の頬は引きつる。「矢っ張り生で見ると全然違うンだな」と存外無邪気に顔を耀かす彼に、拒絶も出来ない。



「中原さん、其奴が件の危険異能者ですが」



芥川さんが、若干呆れている様な雰囲気で云う。少年は「え、マジかよ！?」と私の顔と芥川さんの顔を見比べた。



「え、って事は今日から住野Aが部下になんのか?」



「そういう事になりますね」



芥川さんが、疲れて来たのかぞんざいな口調で云う。けれど少年はそんな事も気にせず、私の背中をバシンと叩く。



『・・・痛っ！』



私より少し背の高いだけの小柄な体とは思えない腕力に、思わず呻く。・・・え、流石マフィア。



「俺は中原中也。五大幹部の一人だ。宜しくな」



『幹部・・・！』



芥川さんに丁寧な言葉を使われてる辺り、上層部の人だとは思っていたけれど、幹部だなんて。



でも、幹部ってどの位偉いんだろう・・・スターズで云えば、千世子とかアキラとか・・・?



＿＿＿＿＿あれ、私、今誰の名前を思い浮かべた?



思わず胸がひゅっとなった。落ち着く為に、小さく息を吸った。



・・・駄目だ。もう忘れると決めたじゃないか、彼等の事は。



突然黙り込んだ私を不審がる様に、中原さんは口を開き掛ける。



だから私は笑顔を作った。誰の事も黙らせる、完璧な笑顔を。演技は得意なのだ。



『中原さん、私は住野Aです。初めまして』



私の笑みに、中原さんは云おうとした言葉を忘れた様に快活な表情で「おう！」と答えた。



私は、其の反応に小さく安堵する。私の此の表情は、未だ無価値でも無いらしい。



そんな私の内心等露知らず、中原さんは唐突に云った。



「よし！そうと決まれば、新歓やろうぜ！」



「「『・・・は?」」』



芥川さんと樋口さんと私が、同時に呟いた。



・・・新歓?え、新歓って、俗に云う新入生歓迎会?・・・マフィアが?



芥川さんが、顔をしかめる。



「中原さん、然し・・・」



「善いじゃねえか、たまには飲ませろ！まぁ毎日飲んでるけど！」



・・・キャラ濃いな、マフィア。

混沌な新入生歓迎会。→←夜景と首領。

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