終わりと別離。 ページ39
「・・・それじゃ、僕はそろそろ帰ろうかな。あまり遅くなると、母さんに怒られるからね」
アキラは控えめに微笑み、そう云った。
「・・・こうなったからには、もう貴女はスターズには戻れない。それでもいいんだね?」
『うん』
迷いなく答えた私に、アキラは諦観を表す様な表情をして、「そっか」と呟いた。
『御免ね』
「いいんだよ、謝る必要はない」
そう云った後、アキラは少し躊躇いながら云った。
「ただ・・・1つの役にのめり込み過ぎるのは、貴女の悪い癖だ。気を付けて」
アキラの其の言葉は、確かに私への忠告だ。そうだ、いつもいつも、熱くなりすぎる私を冷ましてくれたのはアキラだった。
けれど何故か、其の忠告を聞き入れる気にはなれなかった。
のめり込むなと云われても止められない程には、私はポートマフィアを愛している。
依然黙っている私を見て、アキラは何かを察した様に肩を竦めた。
「・・・余計なお世話だったかな」
そう呟いたアキラは、芥川さんの方を見て、云った。
「Aさんの事は、頼みますね。・・・決して、死なせたりしないで下さい」
芥川さんは、詰まらなさげに云う。
「僕の仕事は、Aの保護者ではない」
そして、ついでの様に付け足された其の一言。
「・・・其れに此奴は、貴様が思う程に弱くはない」
私は耳を疑った。彼に誉められた事等・・・初めてかもしれない。
私だけでなく、アキラも相当に驚いているらしかった。そして、直ぐに可笑しそうな表情になる。
「そうですか・・・なら、安心ですね」
そして、彼は私に手を振った。
「それじゃ、さよなら。Aさん」
『うん』
私は笑顔を、“役者”の表情を作る。そして、小さく手を振り返した。
・・・今度こそ、私は本当にスターズには戻れない。
其の実感がじわじわと胸中を浸して行くのを感じながら、アキラを見送っていた。
「往くぞ、A」
芥川さんが、そんな私に声を掛ける。・・・如何やら、昔の居場所に拘っている暇も無さそうだ。
私は彼を振り向いて、にこりと笑う。
『はい』
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世河経(プロフ) - 文ストもアクタージュも大好きです!クロスオーバーしたかったんですが、「どうする……?」と思考停止状態で、「ふおおおそう来たか!」って驚愕しました!!!こんなに面白いのに何で星が赤くない……?(煩くてすみません。あと連コメごめんなさい) (2021年8月3日 12時) (レス) id: 58edaa5afd (このIDを非表示/違反報告)
世河経(プロフ) - 天香さん多分文スト滅茶苦茶読み込んでいらっしゃいますよね?!要所要所に小説で見たような表現が……。すごいです!何課、本当に。、私が目指してるやつで。。。尊敬してます!! (2021年8月3日 12時) (レス) id: 58edaa5afd (このIDを非表示/違反報告)
☆天香☆ - ちづさん» は、発狂ですか!?御馳走様です!(錯乱)アクタージュと文ストのクロスオーバー全然無いですよね・・・僕もまだまだ未熟なので、お見苦しい点は多々あると思いますが、貴重なクロスオーバー作家(オイ)として頑張ります(笑) コメントありがとうございます! (2020年4月17日 22時) (レス) id: 63e3e21700 (このIDを非表示/違反報告)
ちづ - アクタージュも文ストもめちゃくちゃ好きで好きで!!!!!!この作品を見つけた時発狂しちゃいました笑応援してます!! (2020年4月17日 10時) (レス) id: d5e82ff792 (このIDを非表示/違反報告)
☆天香☆ - 蟹江さん» え・・・(歓喜の余り思考停止)こんな所まで来て下さるとは・・・!貴方のお言葉で完結まで突っ走る気力が湧いて来ました!!アクタージュはガチで神作なので是非ご一読をお勧めします!!貴方の為に更新頑張ります!!! (2020年4月16日 11時) (レス) id: 63e3e21700 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:☆天香☆ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/amaka00/
作成日時:2020年3月12日 13時