急いで ページ19
崩壊が始まった方舟の中に私はいた。
ふら、ふら、歩きながら。
「行かなきゃ…急いで、早く」
ズキズキと胸が痛み、呼吸すらままならなくなってくる。
視界がぼやける。
意識が、飛んでしまいそう。
それでも、私は…。
「時間が、ない」
本当は、私が何をすべきなのかずっと分かっていたのに。
時間をかけて辿り着いたのは白髪の子、アレンの元。
私に気付いた赤い髪の男は、睨んで威嚇してきた。
「誰だ!?」
「Aさん!?どうして…」
「無事で良かった…」
どうして無事を知って安堵するの?
敵だって言ったのに…。
「何の用だ」
「お願いが、あるの」
「お願い…?」
「私を、ノアを破壊して。貴方には出来るのでしょう?」
「え!?」
「細工をして少しの間方舟の崩壊が止まるようにした」
「どうしてそんな事をする」
「時間が、ない。私と共に消滅してしまうより、エクソシストの彼女には…貴方達ときちんと別れの話をして欲しい」
「別れってどういうことなの?」
「…ごめんなさい」
「今の馬鹿弟子が斬れば、エクソシストのお前は残るのか?」
「確実に時間は残る」
「助ける義理はねぇがそれで脅威が減ると考えれば…やれ馬鹿弟子」
「でもっ!」
「そいつを伯爵の思うように死なせたいのか」
「元帥!?」
「お願い、エクソシストさん」
「分かりました…ごめんなさい」
白い刃が私を斬る。
初めて感じる激痛。
それは一瞬だけで、その後不思議と安らかな気持ちになった。
「アリ、ガ……ト…。ア、レン……」
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作者名:衿歌 | 作成日時:2019年7月30日 23時