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光が治まると、メリジンは遠くの方を杖で指し示す。そこには町人が住む家が規則正しく並んでいる。まるで誰かを待っているかのようにシーンと静まり返って。
「あそこに見えるホテルにいるようね。ホテルの名は『メロディーホテル』だったかしら」
メリジンが指している方向をヴァルサとスパークが眺めると、山の頂上にポツンと一軒だけ建っているのが見える。窓からは光が差し込んでおり、このホテルにはたくさんの泊り客がいることがよく分かる。中身までは見えないが、どうやらあの高級ホテルにいることは間違いなさそうだ。メリジンが嘘をついてなければ。
「本当にあのホテルにいるの?」
ヴァルサが尋ねると、メリジンはニコリと微笑む。
「ええ、いるわよ。あたしが案内してあげる。チケットは3人分あるから、楽しんでね」
メリジンは杖にある紐を肩に下げ、胸元から3枚のチケットを取り出した。それをヴァルサとスパークとデニーに渡すと、そのチケットを見つめる。
チケットには「オペラ歌手『クディア・メリート』の演説会にご招待」と書いてあった。
クディア・メリートというのはドイツで有名なオペラ歌手であり、人気がいつも高いのだ。だから彼女を知らない人は誰もいないだろう。スラム街の住人はドイツの首都から遠いため、知らない人が多いだろうが。
メリジンは肩にしょっている杖で頭を軽くたたくと、段々と服ごと小さくなり緑色の鳥に変身した。その鳥は尾が長くて美しい色をした羽根を持っており、メリジンのオカマ要素が無くなっている。
3人とも少しだけホッとしたのか、その美しい鳥に興味津々である。けれどしゃべり方が同じなので、気持ちがどんよりするのだが。
「ついてきなさい」
緑の鳥がそうつぶやくと、スパークを先頭にして一列に並ぶ。そしてヴァルサはようやくスパークの手を離して、歩き始めた。
その後ろにいるデニーはチケットを眺めながらブツブツと独り言を呟いているが、その内容は全く聞き取れない。
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まりもさんだぞっ(`・ω・´)まり - いえいえ、これからも更新頑張って下さいねー (2018年5月24日 17時) (レス) id: ec47b1a578 (このIDを非表示/違反報告)
心の雨と虹の空@写真は載せられない(プロフ) - まりもさんだぞっ(`・ω・´)まりさん» なるほど……。その手がありましたか! 例も書いてくださりありがとうございます! (2018年5月24日 17時) (レス) id: 437d7e5db9 (このIDを非表示/違反報告)
心の雨と虹の空@写真は載せられない(プロフ) - まりもさんだぞっ(`・ω・´)まりさん» 的確なアドバイスありがとうございます! キャラのセリフを感情的に書く……ですか……。一番苦手にしていることですが、ちょっとずつ改変していきたいと思います。更新頑張りたいと思いました! (2018年5月24日 17時) (レス) id: 437d7e5db9 (このIDを非表示/違反報告)
まりもさんだぞっ(`・ω・´)まり - 例えば、キャラのセリフの前に舌打ちを入れて見るなど...(例)「チッ、だからああだと言っておったではないか!」露骨に舌打ちを決め、怒りを表す○○。...みたいな感じですかねー (2018年5月24日 17時) (レス) id: ec47b1a578 (このIDを非表示/違反報告)
まりもさんだぞっ(`・ω・´)まり - ちょっと遅くなりましたが、読ませて頂きました!内容 10点満点! 文 9点 惜しいぃー! 私が思うには、キャラのセリフをもうちょっと、感情的に、細い表現を入れるなどしてみたらどうですかね? (2018年5月24日 17時) (レス) id: ec47b1a578 (このIDを非表示/違反報告)
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