【◇】私と成宮 (ページ41)

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41. ページ41

西本陽子

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がさがさ…

ハンバーガーの包みを開く音だけが私と白河くんの間に流れる。

気まずさとハンバーガーをかみしめながらちらりと彼の方を見れば、ジュースをストローで吸いながら、先ほどまでのおぎやはぎのライブのパンフレットを眺めている。

あれから結局、暇だった私は、ペア限定とかいうチケットを突きつけられて、ついてくるだけでいいからと言われてついていくだけついていった。

「面白かったね…」

「……」

無視ですか…そうですか…。

でも、最初より肩身の狭い思いを感じなくなったのは、ライブの途中で隣で小さく笑う白河くんを見たせいか。

冷たい一面しか知らなかったけど、ちゃんと笑うんだなと思って少し嬉しくなった。

「……あんたさ」

「………はい」

「……カルロスのこと好きなの」

飲んでいたオレンジジュースが変なところに入って咳き込む私を冷静に見つめる白河くん。

「なっ…な」というだけでかぁーっと顔が熱くなる。

誤魔化そうと思うけど、熱くなる頬と対照的な白河くんの冷たい目線で、私はうつむきながら小さく頷く。

「趣味わる…」

「ひ、ひどい…」

「どこが好きなの」

「え、あえーっと…」

突然の質問にテンパりながらも、「実は…」と話し始める。ほぼ初対面の相手に暴露できたのは、白河くんなら絶対他言はしないだろうという確信と、ヤケだったんだと思う。

「たまたま野球部が練習してるのを見たときに、
野球のこととか全然わからない私にもカルロスくんのプレーはすごいってわかって、
すごくかっこよくて！
それに、拗ねる成宮くんに向ける視線とかも優しくて素敵で！
時々脱いでるのを見ては筋肉やばいなって

………あ、ご、ごめんなさい」

いつの間にか熱く語っていた私を、相変わらず白河くんは冷静な目で見ていて、急に恥ずかしくなって縮こまる。

「まあ…悪い奴じゃないから、カルロス」

「う、うん」

「頑張れば」

「………………あっありがとう白河くん！！」

なんだか、ポロっと言われたセリフが嬉しくて、私は思わず立ち上がって前のめりで白河くんの手を握る。

ドン引きしたような目をされたけど、私はそのことには動じないくらいに嬉しくて浮き足立っていた。

「……あのさ……カルロスの好みを考えてそういう服着てるのかもしれないけど……」

「…え？」

白河くんは一切顔色を変えずにゆったりと空いた私のワンピースの胸元に「見えてるから」と言って一瞥をくれた。

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