終曲ってなに ページ42
エキシビションマッチには間に合ったものの参加が認められず、渋々観客席から試合を見守った。
とはいってもやはり観戦だけでも楽しくて、気付けば夢中で見入ってた。
サバナクロー3人はさっきのバトルでヘロヘロのハズだけど、勝負となれば目付きは狩りをする獣そのものだった。
特にジャックなんかは憧れのレオナ寮長と試合できるのが本当に嬉しいみたいで、途中指示を出された時にわかりやすく目が輝いていた。なんだ、かわいいやつじゃないか。
「いくぜ!オレ様の超ロングシュート!」
「…アッ!?」
「あぁ?」
『あちゃァ…』
グリムが思いっきり投げたディスクは見事ゴール…
ではなく、ユウの後頭部に直撃した。うーん、これもある意味ゴールなのか?
しかしあの至近距離だ、ユウはそのまま気絶してしまった。
そんな微妙な終わり方をしてしまったが観客は大いに盛り上がり、たくさん歓声を浴びていた。
歓声の中には寮長を称えるものがやっぱり多くて、なぜか僕が嬉しくなる。
……ほんと、こんなにたくさんの人に認められてるのに。寮長がすごい人だってみんな分かってるのに。
寮長は一体誰に認められたかったんだろう。
考えても僕がわかるわけないので大人しく保健室に戻った。
****
「あっ、ユウ!目が覚めたんだゾ!」
『おはよォ』
「え、うん…あれ?ここは?」
ユウが目覚めたとき、大会は終わっていた。ちなみに優勝はディアソムニア寮。
サバナクロー寮も決勝まで進んだけど、その頃には事故らせてきた生徒たちからの報復にみんなヘロヘロだった。
現に寮長とラギーセンパイが横のベッドにいる。
「噂には聞いてたけど、マジでディアソムニアの寮長ハンパなかったわ」
「あぁ…凄かった。監督生も見たら驚くだろうな」
「え〜…なんで気絶なんてしてたんだよ…」
『ひゃは、来年までお預けだァ』
勝てる気がしねー、とかそんなんだから勝てねーんだよ、とか来年は勝ってやるー、とか。
あれ、まさか寮長、マジフトのためだけに留年してるとかないよね?まさか、まさかないよね??
すると、ドアのほうから子供特有のキンキンした声が耳を貫いた。
「レオナおじたん!」
寮長の甥…チェカというこの子にいつも余裕たっぷりの寮長も押されまくってて、笑いを堪えきれなかった。
寮長には内緒だが、この呼称はしばらくラギーセンパイとジャックとの間で爆笑必須ネタになった。
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作者名:くろかは | 作成日時:2020年3月24日 15時