近くて遠い《2》 (ページ18)

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続々とみんな帰宅して行き、あっという間に1人残された。

『誰かいるってバレたら意味ないか』

カバンと上着を持って、誰か入ってきてもバレないよう物陰へと隠れた。

『……何してんだろ私。』

冷静に考えると、嫌がらせ受けてる私が

その犯人探すために誰よりも早く出社してみたり

残業もないのに会社に残って

いつ来るかも分からない犯人を待ってみたり

何で私がこんなに頑張らなきゃならないんだろ。

『あー、イライラしてきた！

今日こそ絶対に突き止めてやるんだから』

待つこと2時間は経ったであろう。

未だ誰も来る気配なし。

『はぁー。』

お腹空いたなぁ。

なんて考えてると、誰かがドアを開ける音がした。

え、来た……！？

グダーッと座ってスマホを眺めていた姿勢を慌てて直し扉の方に視線を向ける。

──ガチャッ

『っ……』

一体誰なんだろう。

と、思わず唾を飲み込んだ。

「誰かいますかー？」

『えっ、』

「電気消しますよー？」

入ってきたのは、悪戯の犯人ではなく警備員さんだった。

『…なんだよ。』

この時間だ。恐らく見回りに来たのだろう。

警備員さんはオフィスの電気を消すと出て行った。

『真っ暗や、何も見えへん。』

暗くなったオフィスに1人。

余計に寂しくなる。

『しげちゃん何してるのかな。』

暇潰しに付き合ってもらおうとしげちゃんにLINEをした。

Aねぇねぇ、何してるのー?

そう送るとすぐに既読が付いた。

しげちゃんコンサートのリハしとったで～どうしたーん?

Aお願い、少し暇潰しに付き合って

しげちゃん別にええけど。何してたん?

A犯人探し

しげちゃんは?なんやそれ。笑

Aまぁまぁ気にしないで?じゃあしりとりしよう!

しげちゃんはぁー?笑まぁ、ええけど

Aじゃあ、重岡のかからね

しげちゃんカラスミ

Aミンミンゼミ

しげちゃん耳

A身だしなみ

しげちゃんおい、み攻めやめろ!笑

Aいいから早く!

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