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私にはこの会社のほうが合っていると思えたからで、それ以外の理由はない。
そしていま、私は自分の実力を頼りに仕事をしている。
誰からの後押しもなく、贔屓もない、AAという1人の社員としてここにいるのだ。
もし渉さんとの関係が明るみに出れば、仕事がやりにくくなるだけでなく、いままでの実績だって、渉さんの力があったからだと言われて、私の努力はすべて水の泡になってしまうだろう。
せめて、渉さんがいまの苦しみから解放されるまでは、彼のそばにいたかった。それで、私がお払い箱になったとしても。
「いまのままで良くないのは私がいちばんよく分かってる」
きっと、私たちの関係にはいつか終わりが来る。それだけはなんとなく分かっていた。でも、それはいまじゃない。それをするには、私には勇気も覚悟も足りなかったのだ。
「A……じゃあ、」
「それとね。私、いつかは赤ちゃんをちゃんと産みたいって思ってる」
「え？」
「センラが聞いたんでしょ。赤ちゃん産みたいかって」
私のその言葉に、センラは悲しい表情を見せた。
「いつかは、ちゃんと子どもを産んで、誰にも遠慮することなく私の愛情たっぷり注いであげれる家庭を作るって、決めてるから」
思う存分愛情を注ぐ事ができる家族が欲しいと、ずっと願っていた。家庭に恵まれなかったわけではないし、これまでもたくさんの人に大切にしてもらって育ってきたわけだか、私はそれに憧れていた。
「A、ちゃんとって言うとるけど、子ども産む以前に相手を探してからやろ」
「もちろん、それが理想だけどね。今はその予定もないし」
「うらたんは………いや、なんでもない」
センラは何かを言いかけて、思い直したように口をつぐんだ。
センラは同期の中でも信頼しているし、きっと私と渉さんの関係を誰かに言ったりもしないと思う。
「今日も、約束しとったんやろ」
「え？」
センラの唐突な質問に、私は思わず顔を上げた。そうしてからようやく、カマをかけられたのだと悟る。
「やっぱり。今日、ずっとスマホ見ながらソワソワしとったし。かと思えば定時直前にしょんぼりしだすから、そうかと思って」
「………だから今日、私を飲みに誘ったの？」
「……………」
無言は肯定の証だ。強がることしか私にはできなかった。言いたいこともたくさんある。聞いてほしいことも。でも、これはそう簡単に言える恋じゃないから。
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あ(プロフ) - 初コメ失礼します。りひとさんの作品がとても大好きで過去作品も全て読ませて頂いております。続編もぜひ読みたいのですが、パスワードをお教えしてもらうことは出来ますでしょうか...？何分仕様が分からず、この場で聞くこと自体間違っていたら申し訳ありません。 (2021年2月10日 1時) (
レス) id: e8d9509923 (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - あすかさん» 返信遅れてすみません。コメントありがとうございます。更新頑張りますので、今後ともよろしくお願いいたします。 (2020年12月14日 21時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
あすか(プロフ) - 初コメ失礼します！めちゃめちゃ面白くて見る度に評価押しちゃいます(笑)今1番を楽しみにしている作品です！更新頑張ってください(T_T) (2020年11月5日 21時) (レス) id: a6330c149b (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - いずりすさん» ありがとうございます。いつもと違うテイストに挑戦するので私自身もどきどきしています笑お楽しみいただけるよう頑張りますので、今後ともよろしくお願いいたします。いずりすさんも体調には気をつけてくださいね。 (2020年10月14日 22時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - Quuさん» ありがとうございます。お楽しみいただけるよう頑張ります。Quuさんもお体に気をつけてくださいね。今後ともよろしくお願いいたします。 (2020年10月14日 22時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
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