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「例えばさ、どうでもいいやつにだったらどう思われようと構わんやろ？」
「………まあ、そうですね」
「じゃあ、その逆は？」
「逆？」
「そ。どうでもよくないやつ」
仲間だったら、好きな人だったら、大切な人だったら、自分はその人にどう思われたいか。
やめてほしい、とAは思った。どうしてそんなふうに期待をさせるようなことを言うんだろう。自惚れてしまいたくなる。
けれど、どうでもよくない、というカテゴリーなら彼らにとって「禁忌の子」である自分もそうなのではないか。
「私が、禁忌の子だからですか？」
自分で聞いておいて、やっぱりやめれば良かったとすぐに後悔した。隣から大きなため息が聞こえて、また後悔の波が押し寄せる。
「………そんなこと思ってたん」
志麻の声は、悲しそうだった。A自身がそう思いたかっただけかもしれない。
「だって、それ以外、思いつきません。皆さんが、命をかけてまで私を助けてくれた理由なんて」
言い訳をするような心苦しさを覚えながら、Aは言った。遠くのほうで波音が聞こえてくる。
「まあ、仕方ないよな。そう思われんのも。けど、俺たちがAを助けたのは、お前が笑うのを見たかったからやで」
「………え？」
「Aが来て、みんな変わった。坂田もセンラも、うらたさんも。みんな変わった。みんな、優しく笑うようになった」
志麻のアメジストのような瞳がAを捉える。その眼差しはどこかあたたかくて、彼はこんな顔もできるのかと心の隅で思った。
「変わったのは、Aが禁忌の子だからじゃない。Aだったから、変われたんや。変わりたいと思えた。Aに笑っていて欲しいと思うようになったんや」
だから、そんなこと言うな。自分を否定するようなことを、言わないでくれ。
そう言われた気がした。
「………本当ですか？迷惑じゃない？」
自分はここにいていいのだろうか。
色んな人に迷惑をかけた。自分はすごくちっぽけで、無力で、弱い。ここにいたところで面倒事しか呼び込まないのに。
「なんなら、うらたさん達にも聞いてみる？」
志麻は眉を下げで困ったように微笑んだ。
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りひと(プロフ) - 凍華＠ラさん» コメントありがとうございます。みなさまの応援のおかげで、ありがたいことにランキングに載ることができました。今後ともお楽しみいただけるよう更新してまいります。引き続きよろしくお願いいたします。 (2020年5月29日 19時) (
レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
凍華＠ラ(プロフ) - よくランキングに載っている作品だったので、少し気になって読ませていただきました。本当に面白くて、一気読みしてしまいました。続きが楽しみです。無理のない範囲での更新、頑張ってください！ (2020年5月29日 12時) (レス) id: 960374666f (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - over the rainさん» コメントありがとうございます。お楽しみいただけたこと嬉しく思います。今後とも応援のほどよろしくお願いいたします。 (2020年5月26日 22時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
over the rain - 続編おめでとうございます。題名に惹かれ読み始めてこらあっという間に3作品目でびっくりです。応援してます。 (2020年5月26日 6時) (レス) id: a4bab14be1 (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - ありまさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しく思います。今後とも、何卒よろしくお願いいたします。 (2020年5月25日 18時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りひと
| 作成日時：2020年5月24日 23時
