. ページ17
「じゃあ、準備はいい？」
「いつでもええで」
先程そらるが提案した方法は、かなりの賭けだった。
「夢の中に、侵入して彼女を助けるんだ」
「そらるさん、その方法は危険ですって！」
まふまふが止めに入るも、志麻がその先を促した。
「そらるさん、どうやってやればいい？」
「俺が、入れてあげる。けど、帰ってくる時は自分たちで帰ってこないといけない。俺は手出しできないんだ」
そらるが言うには、夢の中にいるナイトメア本体を叩き、Aを救い出すというのだ。
「本体をやれば、自動的に意識はこっちに戻ってくるはずだから、彼女も目覚めると思う」
「わかった。やろう」
即答したのは意外にもうらただった。下手したら自分たちも戻って来れなくなる方法なのに。3人は驚いてうらたを見た。
「坂田やまーしぃ、センラの大事なもん、俺が大事にしないわけないだろ」
半分本音だった。もう半分は、うらた自身よく分からなかった。前にセンラに恋について言われたが、そうとは言いきれない。けれど、こいつのことを死なせたくないと思うのは確かだった。
「そんなん言われたら、行かない選択肢なんてないやん」
センラが苦笑して一歩前に出た。それに続いて、志麻と坂田も前に出る。
「………大事なんだね、彼女のこと」
「そうだな」
頷いたうらたに、そらるは驚いたように少しだけ目を見開いたあと、口もとをほころばせた。まふまふも、諦めたようで渋々といった様子で身を引く。
「こっちのことは俺らに任せて。無事に戻ってくることを祈ってるよ」
「さんきゅ、そらるさん」
「じゃ、4人で手を繋いで、輪になって。じゃないと、同じ場所にとばせないから」
「わかった」
4人が輪になると、そらるが呪文を唱えはじめた。次第に意識が薄れていく。
うらたたちの意識は、急速に闇へと飲み込まれていく。
感覚がぐにゃりと歪んだ気がした。
,
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 941人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りひと(プロフ) - 凍華＠ラさん» コメントありがとうございます。みなさまの応援のおかげで、ありがたいことにランキングに載ることができました。今後ともお楽しみいただけるよう更新してまいります。引き続きよろしくお願いいたします。 (2020年5月29日 19時) (
レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
凍華＠ラ(プロフ) - よくランキングに載っている作品だったので、少し気になって読ませていただきました。本当に面白くて、一気読みしてしまいました。続きが楽しみです。無理のない範囲での更新、頑張ってください！ (2020年5月29日 12時) (レス) id: 960374666f (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - over the rainさん» コメントありがとうございます。お楽しみいただけたこと嬉しく思います。今後とも応援のほどよろしくお願いいたします。 (2020年5月26日 22時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
over the rain - 続編おめでとうございます。題名に惹かれ読み始めてこらあっという間に3作品目でびっくりです。応援してます。 (2020年5月26日 6時) (レス) id: a4bab14be1 (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - ありまさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しく思います。今後とも、何卒よろしくお願いいたします。 (2020年5月25日 18時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：りひと
| 作成日時：2020年5月24日 23時
