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「坂田、どうしたん」
坂田の声を聞き付けたセンラが医務室の扉を開けた。そして、Aの様子を見て驚いたような声を上げる。
「俺、みんなのこと呼んでくるわ」
センラが医務室を飛び出すと、バタバタと荒い足音が遠ざかっていく。
「A！………A」
Aがまた苦しそうに呻く。額には汗がにじみでて、明らかにいままでとは様子が違う。
起きる気配もなく、また彼女は苦しんでいる。まるで、毒に侵されていたときと同じみたいだ。一体、彼女の身体に何が起こっているのだろうか。
それからすぐに、センラはまふまふ、志麻、うらたを連れて部屋に駆け込んできた。まふまふは一瞬驚いたような顔をしたが、すぐにそれは真剣な顔の下に消えていった。
「さかたん、かわってください。診察します」
まふまふがぐい、と間に入ってきた。坂田は一歩後ろにさがり、その様子を見守る。
「Aさん、聞こえますか？」
まふまふが彼女の耳元で声をかけた。けれど、Aには全く聞こえないようで、苦しそうにもがいている。
そのときだった。彼女がなにがもごもごと寝言のように呟き、まふまふは何かが分かったように顔を上げた。
「………っ、これは」
「まふ、なにかわかったん？」
坂田が問いかけるのと、まふまふが振り向くのはほぼ同時だった。彼の焦り顔から、部屋の緊張感が一気に高まる。
「うらたさん、そらるさんを呼んできてください！はやく！」
「もういる」
「そらるさん！」
いつからそこにいたのだろうか。そらるは部屋の扉に背を預けるようにしてそこに佇んでいた。すっとAの頭の横に移動してくると、彼女の額に手のひらを当てた。
「…………ナイトメアか？」
「そうみたいです」
ナイトメア。要するに、悪夢を見させて魂を奪う夢魔のことだ。夢の中に介入し、その人物の中に入り込んで魂をじわじわと奪っていくと言われている。
ナイトメアから逃れる術はほとんどない。自分自身で逃げ切るか、悪夢を断ち切るか。彼女の弱った身体では、きっとナイトメアに抗うのは至難の業だ。このままでは、死んでしまうのも時間の問題になる。
「どうすればいい」
そらるとまふまふはその真っ直ぐな声に振り向いた。視線の先には、紫の瞳。
「どうすればAを救える」
「…………ひとつだけ、方法がある」
少しだけ迷ったあと、そらるは志麻の目を真っ直ぐに見つめ返した。
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りひと(プロフ) - 凍華＠ラさん» コメントありがとうございます。みなさまの応援のおかげで、ありがたいことにランキングに載ることができました。今後ともお楽しみいただけるよう更新してまいります。引き続きよろしくお願いいたします。 (2020年5月29日 19時) (
レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
凍華＠ラ(プロフ) - よくランキングに載っている作品だったので、少し気になって読ませていただきました。本当に面白くて、一気読みしてしまいました。続きが楽しみです。無理のない範囲での更新、頑張ってください！ (2020年5月29日 12時) (レス) id: 960374666f (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - over the rainさん» コメントありがとうございます。お楽しみいただけたこと嬉しく思います。今後とも応援のほどよろしくお願いいたします。 (2020年5月26日 22時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
over the rain - 続編おめでとうございます。題名に惹かれ読み始めてこらあっという間に3作品目でびっくりです。応援してます。 (2020年5月26日 6時) (レス) id: a4bab14be1 (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - ありまさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しく思います。今後とも、何卒よろしくお願いいたします。 (2020年5月25日 18時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りひと
| 作成日時：2020年5月24日 23時
