8話 ページ10
一郎side
三郎「それでは一兄、行ってきます!」
一郎「おう、行ってらっしゃい!」
二郎「やべぇっ!遅刻する…!兄ちゃん行ってきます!」
一郎「あぁ、気をつけろよー」
二郎、三郎が学校に行くのを見送りリビングに戻る。
Aの部屋は未だに鍵がかかっている。
どうしたもんかと考えていると、廊下の向こうからドアの開く音がして、シャワーの音が聞こえてきた。
今家にいるのはあいつしかいない。
だからようやく話せるチャンスが来た訳だが…
一郎「流石にシャワー中は怒るよな…」
部屋に戻る前に引き留めよう。
そんなことを考えていたが現実は甘くなく、Aはさっさと部屋に戻ってしまった。
コンコン。
一郎「A。」
声をかけると、中から返答は無かった。
一郎「なぁ、A、昨日水無瀬さんから貰ったやつ、まだ残ってるし一緒に食わないか?」
腹減ってるだろ?
そう尋ねても何も返ってこなかった。
諦めて戻ろうとした時、一応…と扉の取っ手を下げるとそれは簡単に下がった。
鍵…いつもの癖で閉めてねぇな。
一郎「A、入るぞ?」
一言声をかけて中に入ると、まだ髪を濡らしたままびっくりしているAがそこにいた。
一郎「わり、ちょっと話したくてさ。それより腹減ってないか?飯食うか?」
何から喋ればいいのかも分からず、そう聞くとAは見るからに不機嫌そうだ。
『出てってくんない?話す事とかないし。お腹も空いてない。』
嘘つけ。昨日から何も食ってないくせに…
どこまでも意地っ張りな妹を無性に甘やかしてやりたくなった。
一郎「昨日、悪かったな。二郎も謝ってた。でもな、俺だって心配なんだ。ここらも治安が良い訳じゃない。夜遅くに女一人で歩かせるのは…」
ぐうぅぅぅ…
俺の言葉は、その音によって止まってしまった。
『…っ!!ち、ちがっ』
音を鳴らした張本人は顔を赤くして早く出てけと喚いていた。
そんな妹がとても可愛くて自然と笑みが零れた。
一郎「やっぱり腹減ってんじゃねえか。一緒に飯食おうぜ。」
な?と頭を撫でてやるとそれはすぐに振り払われたが、飯は食べてくれるらしい。
リビングへ行くその後を、俺も急いで追っていった。
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琳檎(プロフ) - しれっと更新再開します…。これからもよろしくお願いします…( ._. )" (6月20日 22時) (レス) id: 2253c94c55 (このIDを非表示/違反報告)
琳檎(プロフ) - 嵯峨野 繆謎さん» お久しぶりです。( 'ω')ノほんとに遅くなってすみません、こんなに早くにコメント下さって泣きそうな位嬉しいです!!! (2020年8月22日 0時) (レス) id: 2253c94c55 (このIDを非表示/違反報告)
嵯峨野 繆謎(プロフ) - やっと更新されたあああ!ずっと待ってました!! (2020年8月21日 23時) (レス) id: 58baba6999 (このIDを非表示/違反報告)
琳檎(プロフ) - 叶芽さん» コメントありがとうございます、続きだすの遅くてごめんなさいね(´;ω;`) (2020年8月21日 23時) (レス) id: be3a7aa177 (このIDを非表示/違反報告)
叶芽 - 続きが気になりました!これからも頑張ってください!応援してます! (2020年5月28日 17時) (レス) id: ab515b650e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:琳檎 | 作成日時:2020年4月13日 1時