検索窓
今日:1 hit、昨日:14 hit、合計:171,640 hit

8話 ページ10

一郎side


三郎「それでは一兄、行ってきます!」


一郎「おう、行ってらっしゃい!」


二郎「やべぇっ!遅刻する…!兄ちゃん行ってきます!」


一郎「あぁ、気をつけろよー」


二郎、三郎が学校に行くのを見送りリビングに戻る。


Aの部屋は未だに鍵がかかっている。


どうしたもんかと考えていると、廊下の向こうからドアの開く音がして、シャワーの音が聞こえてきた。



今家にいるのはあいつしかいない。


だからようやく話せるチャンスが来た訳だが…


一郎「流石にシャワー中は怒るよな…」


部屋に戻る前に引き留めよう。






そんなことを考えていたが現実は甘くなく、Aはさっさと部屋に戻ってしまった。


コンコン。


一郎「A。」


声をかけると、中から返答は無かった。


一郎「なぁ、A、昨日水無瀬さんから貰ったやつ、まだ残ってるし一緒に食わないか?」


腹減ってるだろ?


そう尋ねても何も返ってこなかった。


諦めて戻ろうとした時、一応…と扉の取っ手を下げるとそれは簡単に下がった。


鍵…いつもの癖で閉めてねぇな。



一郎「A、入るぞ?」


一言声をかけて中に入ると、まだ髪を濡らしたままびっくりしているAがそこにいた。



一郎「わり、ちょっと話したくてさ。それより腹減ってないか?飯食うか?」


何から喋ればいいのかも分からず、そう聞くとAは見るからに不機嫌そうだ。


『出てってくんない?話す事とかないし。お腹も空いてない。』


嘘つけ。昨日から何も食ってないくせに…



どこまでも意地っ張りな妹を無性に甘やかしてやりたくなった。



一郎「昨日、悪かったな。二郎も謝ってた。でもな、俺だって心配なんだ。ここらも治安が良い訳じゃない。夜遅くに女一人で歩かせるのは…」



ぐうぅぅぅ…


俺の言葉は、その音によって止まってしまった。


『…っ!!ち、ちがっ』


音を鳴らした張本人は顔を赤くして早く出てけと喚いていた。



そんな妹がとても可愛くて自然と笑みが零れた。



一郎「やっぱり腹減ってんじゃねえか。一緒に飯食おうぜ。」


な?と頭を撫でてやるとそれはすぐに振り払われたが、飯は食べてくれるらしい。


リビングへ行くその後を、俺も急いで追っていった。

9話→←7話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (236 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
577人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

琳檎(プロフ) - しれっと更新再開します…。これからもよろしくお願いします…( ._. )" (6月20日 22時) (レス) id: 2253c94c55 (このIDを非表示/違反報告)
琳檎(プロフ) - 嵯峨野 繆謎さん» お久しぶりです。( 'ω')ノほんとに遅くなってすみません、こんなに早くにコメント下さって泣きそうな位嬉しいです!!! (2020年8月22日 0時) (レス) id: 2253c94c55 (このIDを非表示/違反報告)
嵯峨野 繆謎(プロフ) - やっと更新されたあああ!ずっと待ってました!! (2020年8月21日 23時) (レス) id: 58baba6999 (このIDを非表示/違反報告)
琳檎(プロフ) - 叶芽さん» コメントありがとうございます、続きだすの遅くてごめんなさいね(´;ω;`) (2020年8月21日 23時) (レス) id: be3a7aa177 (このIDを非表示/違反報告)
叶芽 - 続きが気になりました!これからも頑張ってください!応援してます! (2020年5月28日 17時) (レス) id: ab515b650e (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:琳檎 | 作成日時:2020年4月13日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。