30話 ページ32
左馬刻side
左馬刻「ほらよ。」
ベシッ
『いったぁ!…もう、ちょっとは優しくしてよ…』
最近出来たらしい肩にある痣に湿布を貼って軽く叩く。
こいつは肩を出すために下ろした服を整えながらぶつぶつと文句を言う。
家で転んで壁に打ったって言ってたけど…それも本当かどうか分かんねぇな。
左馬刻「お前、俺には隠し事しねぇんじゃ無かったんか?」
『い、痛い痛いっ!頭潰れる!自分の馬鹿力加減考えろっ!』
イラついてこいつの頭を掴むと言いたいことが分かったのか、涙目になりながら学校行ってないんだから虐められるわけが無いと怒鳴られた。
左馬刻「…飯でも食いに行くか。」
『えぇー、私お金ないから無理だよ。』
左馬刻「アホか。餓鬼は俺様に食わされてろ。」
『え!奢り?やった!あ、じゃあ回らないお寿司とか食べたいなぁ〜!』
左馬刻「あ"ぁ?少しは遠慮しろ。」
『冗談冗談、そこら辺の安いのでいいからお寿司食べたい。』
何食べよっかなー、
なんて呟いては頬を緩ませるこいつは前より表情が豊かになったと思う。
心の底からでは無くても、俺はこいつにもっと笑って欲しい。
左馬刻「俺がてめぇにそんな安いもん食わせるわけねぇだろ。いつもの所に肉食いに行くぞ。」
『え?寿司食べたいって言ったじゃん。てか結局高いとこかよ。(…やっぱヤクザってすげーな、月いくらなんだろ…)』
初めて会った時、こいつはうざいほどヘラヘラしてた。
『あははっ、左馬刻さんって面白いですね!そんな怖い性格して実はシスコンとか…あはははっ、あ、褒めてます褒めてます、すっごい可愛いですよ?』
今と変わらず兄弟が嫌いで、
『うるせぇっつってんだよ!ついてくんな!お前なんて顔も見たくねぇんだよ!!』
あぁ、反抗期のせいか今よりは酷かったか。
『左馬刻さん!一郎なんか構ってないであっち行きましょ!』
変に懐かれて、兄貴より俺に頼るようになってしまった。
『あ…はは、そうですよ。私は似てないんです。あの人達とは何もかも違うんです…』
慣れたような作り笑い。嘘をつく時、こいつは絶対に顔のどこかに手を当てて笑う。
『大丈夫ですよ、私は。』
だが、それに気づいた時にはもう遅くて…
『左馬刻さんっ、もう辛いっ…!どうして、っ?なんで同じ家族なのに私だけ…っ』
こいつの壊れた心は、
…俺だけじゃ治せない。
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琳檎(プロフ) - しれっと更新再開します…。これからもよろしくお願いします…( ._. )" (6月20日 22時) (レス) id: 2253c94c55 (このIDを非表示/違反報告)
琳檎(プロフ) - 嵯峨野 繆謎さん» お久しぶりです。( 'ω')ノほんとに遅くなってすみません、こんなに早くにコメント下さって泣きそうな位嬉しいです!!! (2020年8月22日 0時) (レス) id: 2253c94c55 (このIDを非表示/違反報告)
嵯峨野 繆謎(プロフ) - やっと更新されたあああ!ずっと待ってました!! (2020年8月21日 23時) (レス) id: 58baba6999 (このIDを非表示/違反報告)
琳檎(プロフ) - 叶芽さん» コメントありがとうございます、続きだすの遅くてごめんなさいね(´;ω;`) (2020年8月21日 23時) (レス) id: be3a7aa177 (このIDを非表示/違反報告)
叶芽 - 続きが気になりました!これからも頑張ってください!応援してます! (2020年5月28日 17時) (レス) id: ab515b650e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:琳檎 | 作成日時:2020年4月13日 1時