4話 乙女には愛想が第一 ページ4
その後。
あれから二人は数分間体育館内の様子を伺っていたが、緑間が来たところで「何をやっている」と指摘され、渋々体育館に入ることになった(因みに青峰の練習二倍は何とか免れた)。
「おはよう、さつき。今日は来るの遅かったんだね」
「お、おはようAちゃん。今朝ちょっと青峰くんが寝坊しちゃって……」
「は?何言ってんだよさつき」
誤魔化すように笑いながら鞄を下ろす桃井に向かって、青峰は怪訝そうに顔を歪めて反論した。
途端、彼に鋭い眼差しが注がれる。その目には「青峰くんは口挟まないで」といった意味が込められているような気がした。
青峰にしては珍しく、何となく状況を察したようでそれ以降口を挟むことはなかった。いや、単純に桃井が怖かっただけなのかもしれない。
「どうかしたの、さつき」
「あ、はは、何でもないよ!」
桃井は笑顔でその場を
更にそれから数分後。桃井の立つ真後ろの扉から、「おはようございます」と言いながら入って来る人物がいた。
「すみません、少し遅くなっちゃいました」
現れたのは、小柄な少女。一見清楚な印象の、童顔で可愛らしい女の子。そんな全身からおしとやかな雰囲気を出している少女がこの体育館に顔を出すのは、あまりにも場違いだった。
だが、彼女が登場して慌てふためく者は誰もいない。
「あ、愛莉ちゃん。おはよう」
「おはようございます、桃井先輩」
桃井が軽く微笑めば、愛莉と呼ばれた少女もまた笑みを浮かべた。
彼女は今年男子バスケ部の一軍マネージャーとなった、
愛莉の登場により、バスケ部の部員達は皆揃って彼女に注目した。と言うより視線が自然と愛莉の方に移った、の方が正しい。
「おはようっス、愛莉っち!」
「おはようございます、涼太先輩」
「今日も、また一段と可愛いっスね」
「もう、毎回お世辞は止めてください。涼太先輩はあくまでモデルで、女の子にも大人気なんですからね」
一番露骨なのは、黄瀬だ。愛莉を特にお気に召している様子で、端からでもその感情はわかりやすいくらいに際立っていた。
そんな黄瀬に対して満更でもない表情を浮かべている愛莉は、まさに理想の女の子を実写したかのようだった。
そう、このバスケ部で、彼女を嫌う者は誰もいない。
ただ一人、Aだけを除いて。
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翡翠(プロフ) - 七奈那さん» コメントありがとうございます!返信が遅くなってしまい本当にごめんなさい!面白いといって頂けてとても嬉しいです。最近忙しくて全く更新できていませんが、早く続きを作るようがんばります! (2020年3月4日 0時) (レス) id: c98d4fab9f (このIDを非表示/違反報告)
七奈那(プロフ) - いいお話ですね。とても面白いです。早く続きが読みたいです!応援してます。完結するのが楽しみです (2020年2月11日 17時) (レス) id: 98ad0ce5fe (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 花音さん» コメントありがとうございます。この作品を読んでもらえてとても嬉しいです!最近更新できていなくて本当にごめんなさい。私も完結させたいので、また近いうちに更新できるよう頑張ります。引き続きよろしくお願いします。 (2019年11月6日 22時) (レス) id: c98d4fab9f (このIDを非表示/違反報告)
花音 - 作品読ませて頂きました。凄く面白いですね。もう更新なさらないのですか?できれば完結させて欲しいです。待ってます (2019年11月6日 21時) (レス) id: ac5c9fd8b6 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 黛夕那(#・∀・#)さん» コメントありがとうございます!読んでもらえてとても嬉しいです!なるべく早く更新できるように頑張りますね! (2019年9月1日 11時) (レス) id: c98d4fab9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:翡翠 | 作成日時:2018年12月23日 16時