40話 終わった ページ41
「……強いて上げるなら黄瀬先輩ですかね?」
「ええっ、何で?」
漸く彼女から導き出された答えが黄瀬と聞き、桃井は大袈裟に驚いてみせた。
「もう、何でそんなオーバーなリアクションするんですか先輩」
静香は軽く頬を膨らませる。
「いやあ、なんかやっぱり予想とは違う方向でくるなあと思って……」
「そうですか?私はただ、黄瀬先輩みたいにフレンドリーな人の方が親しみやすくて好きなだけですよ」
「そっか。……なんか、仮にきーちゃんみたいな人気者な人と付き合ったりするってなると、大変そうだよね。相手の女の子」
「確かに言えてますね……あっ、でも、顔で決めるなら赤司先輩が断然好みです」
「え、そうなの?」
「はい!性格は私とまるっきり正反対なので、少し話し掛けにくいところはあるんですけど」
「私はもちろんテツ君だよ。顔も性格も全て完璧だから!」
「あはは、知ってます」
二人の話を側で聞き続けていたAは、雑巾を握りしめ再び時計を確認する。思い切って口を開こうとした瞬間、桃井と静香が同時に振り返った。
「それで、A先輩はどうなんですか?」
「え……」
「ごめんね。やっぱりこの際だから、私も気になっちゃって」
「そ、それは……」
Aは、少し火照っている顔を更に赤く染めた。正直、この手の話は得意じゃないのだ。
「……やっぱり、初対面で顔合わせただけじゃわからないよね」
「でもでも、見た目だけなら好みがわかれるんじゃないですか?」
「確かに……じゃあ見た目だけならどうかな?」
「やっぱ赤司先輩ですよね?」
「絶対テツ君だよ!」
Aがまごついているうちにも、静香と桃井の会話は徐々に熱を増していく。Aが何か言わなければと口を開きかけるも、咄嗟に何も言葉に出来なくて困ったように顔を上げた。
「!あ……」
入り口の方向を見た途端、Aは思わず硬直した。表情が一瞬にして青ざめ、そのまま石のように動かなくなる。
暫くして、二人が異変に気が付いた。
「……あれ、Aちゃん?」
「A先輩?」
Aの様子がおかしいことに首を傾げつつも、何の気なしにつられて後ろを振り返る。
「!!」
二人は、急速に部室内の空気が凍りついていくのを感じた。そこにいた人物が、あからさまに不機嫌なオーラを放っていたからだ。
「……部活の時間、とっくに終了したんだが」
後にも先にもあんなに怖い顔をした赤司は見たことがない。後に桃井はそう語る。
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翡翠(プロフ) - モトコさん» ありがとうございます。がんばって更新します! (2018年11月3日 23時) (レス) id: c98d4fab9f (このIDを非表示/違反報告)
モトコ(プロフ) - 続きが気になります。更新頑張ってください! (2018年11月3日 23時) (レス) id: e294c9830f (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - ゆっくりノワールクローンNo.1さん» ありがとうございます!これからももっと面白くしていきたいと思います!頑張りますね! (2018年8月14日 23時) (レス) id: c98d4fab9f (このIDを非表示/違反報告)
ゆっくりノワールクローンNo.1(プロフ) - ものっそい好みの作品です!!夢主ちゃん世間知らずで可愛いし間接キス知らないとかもう悶えちゃいます!!これからも更新頑張ってください!! (2018年8月14日 20時) (レス) id: a2e5a81f28 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 彩香さん» ありがとうございます(*≧∀≦*)!!がんばりますね! (2018年8月1日 9時) (レス) id: c98d4fab9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:翡翠 | 作成日時:2018年7月12日 19時