10:家族っていいよね ページ11
「お誕生日おめでとうA」
「ありがとう、紗夜ちゃんにみんな」
次の日。授業が終わった途端Aの席に生徒みんなが群がる。
銀時達以外の男子は今朝知ったとかで裏に咲いている花を摘んできて渡していた。
紗夜が言うように他から見たら大したものでないものでもAはとても喜んでいた。
「どうですか、晋助。似合ってます?」
ご機嫌で頭に貰った髪飾りと花をつけるとその様子を遠くから眺めていた3人の元に駆け寄ってくる。
「馬子にも衣装」
「銀時には聞いてないっ!」
ポソリと言った銀時の頭をAは松陽から貰った短刀の柄で殴る。
「銀時も素直に言えば良いものを」
「似合ってんじゃねぇの?」
それを見た桂と高杉がそう言うと今度は満面の笑みを浮かべる。
わかりやすい奴と言えばそうなのだがこの場合は馬鹿な程に素直、という方がAには合う。
「みなさん、お祝いが終わったなら暗くなる前に帰りなさい。この時期は日が落ちるのが早いですから」
松陽がそう声をかけると門下生達は素直に返事をして別れを告げると塾から帰っていく。
「さて、それなら私達からもぷれぜんとをあげないといけませんね」
「先生からもあるんですか?」
笑顔でみんなを見送ったAが驚いた顔になって松陽の方を振り返る。
「私は一応あなたの保護者でもありますし、大切な家族にはあげるものでしょう?」
「家族…」
両親も兄も捨てて松下村塾に来てしまったAにとってその言葉は特別なものだった。
「さ、早くこっちに来てくださいA」
部屋に入って手招きをする松陽に笑顔ではい、と答えると駆け寄る。
「俺ら空気じゃね?」
「結局は先生には勝てねぇってことだ」
「100年経っても勝てる気がせぬな」
「3人も早く来たらどうですか」
着物を貰って笑顔のAと松陽が中から手招きする。
「今行く!」
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