むかつく. ページ8
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「A、無理しすぎてないよね?」
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え?今なんて?
鳴さんの口から私を心配してくれてるような言葉聞こえたんだけど。
いやいやそんな訳ない!
だってこの人、私のこと嫌いだもん
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「え、と。あの今、幻聴聞いたみたいで」
「………もう知らないもんね!」
「嘘です嘘です許してください」
頬を膨らませて怒る姿は、ちっちゃい男の子のように見えて思わず笑がこぼれた
「………その顔」
「はい?」
「俺、その顔が見たかった」
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気づいたら目の前には鳴さんの顔があって、
私の身長に合わせるかのようにかがんでくれていた
「………なに、このぶさいくな目」
「バカにしてるんですか?」
ぷぷぷと笑いながら言ってきたもんだから殴ってやろうかと思った、
のはつかの間。
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「…え、?」
「いっぱい、泣いたんだなA。」
「そ、そんなことな、」
「くないよ」
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鳴さんの両手は私の頬を優しく包んでいて、
気づいたら優しく親指で涙袋を撫でられていた
一也先輩にしたことを鳴さんにやられるなんて思ってもなかった。
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「…一也がさ、結構 Aのことお気に入りみたいで毎日の様に話聞かせれててさぁ」
「…はい」
「いつもは、また同じやつの話かよ、もう聞き飽きた、つまんねー、とか思ってたんだけど」
「鳴さんやっぱり嫌いです」
「…でも今。一也のあのうざったい話を聞いといてよかったと思った」
「鳴さんそれ喜んでいいんですか?」
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「当たり前じゃん」
そう言った彼はニカっと無邪気に笑った。
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「俺は稲実のエースで、都のプリンス成宮鳴で、
一也みたいに近くにいることできないけど、」
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「お互い辛いことは半分こ、だな」
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そう言った鳴さんは私の頭をくしゃくしゃと撫でて、
ポンっと1回優しく頭に手を置いた
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「よし、帰るか!!」
「鳴さん、やっぱり大っ嫌いです」
「は?!今の流れ、大っ嫌いっていうとこ?!」
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「(ムカつくくらいにかっこよすぎて嫌いです)」
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作者名:りた。 | 作成日時:2018年9月30日 18時