気高き女帝を想う者達《あんスタ》 (ページ10)

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渦巻く疑念ページ10

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生徒会室についた衣更は挨拶もそこそこに作業へととりかる

すると今度行われるS1(大規模なドリフェス)についての資料を纏めていたAが『…衣更くん』と声を掛ける

「…?はい」

『昨日、私達がB1の中断に行った時貴方の姿が見当たらなかったけど…一体どこで何してたの?』

「っ?!」

衣更が生徒会役員でありながら、本来なら一緒に中断に行くべきあの場にいなかった事への違和感からか、訝しげに自身を見つめてくるAに衣更は息が詰まる様な居心地の悪さを感じる

「あ～、いや…えっと、その…昨日はちょっとクラスで野暮用があって…だから教室にいました…」

『じゃあそれであの場にいなかったと?』

「…は、はい…校外が騒がしいのも会長達が止めてるのも聞こえてはいたんですけど、どうにも手が離せなくて…」

『………ならいいんだけどね』

Aは挙動不審な衣更の返答にまだ若干の違和感を残しつつも、それを打ち切るように資料へと目を戻した

意外にもあっさり信じたAに拍子抜けした衣更だが、それよりも今は誤魔化せたことへの安堵感の方が大きい

「(あっぶね〜…とにかくセーフ…けど、どこでカマかけてくるか分かんないしまだ油断はしない方がいいな…)」

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「じゃあ、終わったんでユニットの練習行ってきます」

作業が終わり、最終チェックまで済ませた衣更がそう告げるとAは『えぇ、お疲れ様』と答えた

そしてバタン…と生徒会室の扉が閉まると一息ついて椅子から立ち上がる

『………ねぇ、敬人』

「なんだ」

『さっき衣更くんが昨日は教室にいたって話…敬人は本当だと思う?』

「さぁ、どうだろうな…実際に見てないから本当と言いきれる確信はないが、嘘とも言いきれん。」

そう答える蓮巳を背に窓越しから校外を見つめ『……そう。そうよね』と静かに呟くAの目には、どこか疑いの色が滲んでいた

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