三 ページ4
翌日の夕方。
｢いいなぁ〜、扉間様とお話ししたなんてさぁ｣
間延びした声の主は、同僚の小夏(こなつ)。
顎より少し下で切りそろえられた茶色い髪に、くりくりとした瞳、私と同じくらいの身長。
ぷっくりとした頬は笑うと紅く染まって、なんとも可愛らしい。
手に数冊本を抱えたまま、私をじっと見つめている。
｢もう。ただ書庫にご案内しただけだよ｣
｢羨ましいよ。火影様はにこやかに話しかけてくださるけど、扉間様はお忙しいみたいだし、話しかけるよりは遠くで見ていたいタイプだし、てか緊張しちゃって話しかけられないし｣
口をとがらせる小夏に苦笑する。
「私は誠実な彼氏がいる小夏の方がうらやましいけどなぁ」
「あはは」
ほんのり頬を染めた小夏が私の腕をぽんぽんと叩く。
いや、照れてるんだろうけど、痛いから。
｢何話してるの｣
落ち着いた声の主は、静香(しずか)先輩。
黒く長い髪、白い肌、黒い瞳。
知的で清楚な美人であり、彼女を目当てに来館するというファンもちらほらいるようだ。
｢静香先輩！Aがね、扉間様とお話ししたんですって！｣
急に大声を出した小夏の肘を小突くと、ぺろっと舌を出した。
まったく、憎めない同僚である。
｢扉間様といえば…あの火影補佐の？｣
｢はい。かなり古い文献をお探しとのことで、書庫に案内してきました｣
｢貸出の出来ない本だから、今日もそれを読みにお見えになるんだよね〜｣
茶化す小夏に苦笑しながら、もう、と肩をつんつんつつく。
それを見て笑っていた静香先輩が、ぱっと振り向いて私の肩を叩く。
振り返ると、そこにいたのは、扉間様だった。
ーーー
ツバメの巣は、どうやら完成したようである。
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K(プロフ) - あとがきを読んで泣いてしまいました...貴方様のお陰で、なんだか少し救われたような気持ちになりました。重たい感情で申し訳ないです...この作品を書いてくださってありがとうございます！！ (2021年3月30日 1時) (
レス) id: 29a0737890 (このIDを非表示/違反報告)
maho(プロフ) - 本当に素敵なお話でした！とても面白かったです！ (2020年8月5日 14時) (レス) id: ad2d13c9c0 (このIDを非表示/違反報告)
夜神 零彼 - もうなんか凄いですね！ 感動しました！最後のしまりが良かったです！ (2020年4月3日 17時) (レス) id: 84e498c4cd (このIDを非表示/違反報告)
如月 - おぉ！ありがとうございます！(*´∀｀*) (2019年1月18日 22時) (レス) id: 699e158105 (このIDを非表示/違反報告)
東雲(プロフ) - 如月さん» ありがとうございます！なるほど、何か短いものを、思いついたら書いてみますね〜！ (2019年1月5日 22時) (レス) id: a22cf2b507 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：東雲 x他1人 | 作成日時：2018年5月14日 8時
