【あんスタ】女王のバラード 4

#157 ページ10

｢あ、英智くん｡今日は学院に来れたんですね〜！！｣

｢つむぎ｣

検査入院から解放され､久しぶりに学院に来た僕に声をかけたのはつむぎはにこにこと嬉しそうに駆け寄ってくる

｢入院していると、たった数日ぶりでも懐かしく感じてしまうよ｣

｢そうなんですね､でも今回は短くてよかったですね〜｣

彼は相変わらずどんな会話でも普通の会話にしてしまう
しばらく2人でその場で談笑していた時だった


｢離して欲しいねッ！！！急に僕の話も聞かずに連れ出すなんて凪砂くんらしくないねっ！！｣

｢……………｣

目の前では大騒ぎする日和くんとその手を握って無言で引っ張っている凪砂くん
凪砂くんに対して強く言うなんて日和くんらしくない

｢珍しいですね､あのふたりすっごい仲良しさんなのに｣

｢そうだね､それもあの凪砂くんが｣

感情が希薄､自ら行動する意志をあまり持たない彼が
相思相愛な日和くんを､それも嫌がる彼を無理に振り回しているのだ

｢(全く､悪目立ちして欲しくないのだけど…)｣

そう思いながら僕は溜息を零す

｢(本当に面倒な奴らだ…)｣

おかしな噂が立つことは避けたい
いくら契約上の関係とはいえ”fineの二枚看板が仲違いしてる”なんて噂が流れたらイメージが悪い

僕たちの計画の障害になってしまう可能性があるからには放っておく訳にはいかないのだ

｢つむぎ､悪いけど付き合ってくれるかい？
あの二人を放っておくと少し面倒なことになりそうな気がしてね｣

｢全然いいですよ〜｡俺でよければお手伝いします｣

火のないところに煙は立たない
火があるというのなら煙が立つ前に消さなければ､面倒だと思いながら僕は重い腰をあげたのだった





｢だからっ､僕は！｣

人気の少ない場所で2人は立ち止まると､何やら話を始める

内容はよく聞こえないが、明らかに日和くんは取り乱していて、凪砂くんも明らかに困っているようだ

｢本当にふたりが揉めてるなんて珍しいですね
普段は喧嘩なんて無縁そうなくらい仲良しなのに…｣

｢普段は気持ち悪いくらいに仲がいいからね｣

人前で手を繋いだりくっついたり、恋人同士なのかと疑いたくなるくらいに親密な2人


｢……私はそうは思わない｣

｢だからっ、何度言えばわかるの？？君はもっと物分りのいい子の筈だね！！｣

僕たちは影から様子を伺うけど､状況が読めない

なにかを説得する日和くんと反発する凪砂くん
しばらく進展しない状況が続いていたのを見守ることしかできなかった

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