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#149 ページ2

「ふふ、相変わらず嵐みたいな人」

渉との電話を終え、私は思わず笑みが零れる
たった数分の電話だけなのに、声を聞けただけで嬉しく感じてしまうのだ

「(やっぱり、私は誰になんて言われても彼らが大好き)」

電話を終えたスマホを握りしめながら、私は目的地へと足を進めるのだった

でも私はまだ知らなかった

この先に起こる非情な現実を、物語でいう悲劇を
そして、この時の選択が違っていれば未来は違ったのかもしれないことを







「こんにちは」

たどりついたのは賑やかな繁華街の外れて、入り組んだ分かりづらい道にある小さなお店

「あ、Aちゃん。こんにちは」

扉を開けば、カランカランと心地のいい鐘の音が鳴る
店内に入るなり、優しく声をかけられた

「店長さん、こんにちは。今日もお世話になります」

「いやいや、世話になってるのはこっちだよ。忙しいのに悪いねぇ。Aちゃんくらい上手な子はなかなかいないから」

「いえ、とんでもない。
褒めていただけて光栄です」

穏やかな人で、月に数回しか来ない私にも良くしてくれる
この落ち着いた空間で演奏するのは心地がいい

零に紹介してもらったこの場所は、数少ない私の憩いの場だ


「ちょりーすっ!!Aちゃん久しぶりっすね〜!!」

何を弾こうか、店内に置かれたピアノの前で楽譜とにらめっこしていると、明るく元気な声で名前を呼ばれた

「こんにちは、椎名さん」

楽譜から目を離し、声の主に声をかけると
明るくて気さくな彼はニコニコと笑顔を浮かべている

「相変わらず丁寧っすね〜。ほんと、うちの燐音くんにも見習って欲しいっすよ」

「そちらも相変わらず、ご苦労なさってるんですね」

「そうなんすよ〜!!この間も______」

彼、椎名ニキさんは同じ店の厨房で働いている人
歳は同じだけれど、そう感じさせないほどに、彼はとてもすごい料理人さんだ

「そうだ!僕、お菓子作りたくてケーキ焼いたんすよ〜!Aちゃんも一緒にどうっすか〜?」

「ありがとうございます。じゃあ少しだけいただきます」

そう言いながら、彼が持ってきたケーキを切り分けてくれる
料理以外にもお菓子作りも器用にこなす彼は、1度食べたものなら再現できると言うので驚きだ

「うん、とっても甘くて美味しいです」

「良かった!!Aちゃんは美味しそうに食べてくれるから、見てて幸せな気分になるんすよね〜♪料理人冥利に尽きるって言うか」

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みるくてぃー - すごく面白いです!更新頑張って下さい! (8月19日 8時) (レス) id: f530bd8429 (このIDを非表示/違反報告)
姫林檎(プロフ) - 星空ブリキさん» ありがとうございます!!!存分に泣いてください笑 (2023年4月15日 17時) (レス) id: bf03de0130 (このIDを非表示/違反報告)
星空ブリキ(プロフ) - 泣きますよ!? 泣きますからね!? 責任とってくださいね゛(褒め言葉)!? だってめっちゃ面白い内容なんですもん(わがまま)!!!! (2023年4月13日 11時) (レス) id: 2cdbc326e2 (このIDを非表示/違反報告)
姫林檎(プロフ) - きさらぎさん» ありがとうございます!!長らくおまたせしました!!!続きを楽しんで貰えたら嬉しいです (2023年4月4日 22時) (レス) id: de049ad89d (このIDを非表示/違反報告)
きさらぎ(プロフ) - もう何周目か分からないくらい繰り返し読んでます!英智先輩の執着している感じがもう沼です!更新頑張ってください!! (2023年3月28日 20時) (レス) @page15 id: 3316933a16 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:姫林檎 | 作成日時:2023年1月2日 14時

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