検索窓
今日:7 hit、昨日:8 hit、合計:104,422 hit

イルカは半分だけ眠る3 ページ23

「織田作、ちょっといいかな?」
「太宰か。どうした?」
「今夜、飲みに行こうよ」
「誘うなんて珍しいな。何かあったのか?」
私が行くと大抵、安吾か太宰のどちらか、又は両方がいる。
私達3人は示し合わせたように件の酒場で集うが、別に待ち合わせしている訳じゃない。
だから、お誘いなんて無いはずなのだ。
「うん、まあちょっとね。あ、安心して。飲み代は私が持つよ」
奢ると言いだした太宰は、基本何があっても奢る。
何とか言いくるめようとするが相手の方が一枚上手だ。此方が逆に丸め込まれてしまう。
逆らうだけ無駄だと長い付き合いで分かってしまったので、私は大人しく甘える事にする。
……まだ、年下に奢ってもらう事に恥じ入る気持ちは多少あるから!
「それは助かる。安吾も呼ぶか?」
「いや、いい。安吾は呼ばないで。二人だけで楽しみたいんだ」
なんだろう、この違和感。
何故そんなに頑なに安吾を拒絶する?
そりゃ、安吾は裏切り者だろうけど、まだ事が明るみに出てないから、それまでは友好的に行こうスタンスだったじゃん。
はっ、もしや私が転生者ってばれた……? んで織田作は何処にやったって問い詰める(拷問)シーンを実現しようって魂胆か!
いや、でも何処でバレるタイミングがあっただろう。
ここで断るのも変なので太宰の誘いに肯く。
というより、有無を言わせない何かが太宰にはあった。
「よかった。じゃあいつもの酒場で」
そこだと安吾も来るかもしれないが、いいのかそれで。安吾は交たくないんじゃないのか。もし本当に安吾を拒絶したいなら、別の酒場に変えればいい。太宰ならその程度の見通しはついている。
……まあ、太宰(天才)の考えてる事は、いつだって凡人(わたし)には理解出来ない。


いろいろ考えたって仕方ない。どうせ全て今日の夜に問い詰めればいいのだから。


翌日、私は先刻の甘い考えを後悔することになる。
だがよくよく考えてみたら、太宰が何の意図もなく、何の算段も無く私を酒の席に『誘う』(よっぽどじゃないと誘われない。誘われなくてもソコソコの頻度で酒場に行くからだ)なんてありえないだろう。その時点で気付けよ私。

イルカは半分だけ眠る4→←イルカは半分だけ眠る2



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (176 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
215人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

翡翠 - 凄い文章力の羅列…裏山しいたけ(古い)何なんだ !あなたは !天才か! ?文豪じゃないのk(( はい。これからもどうか、頑張っていってください !更新を心待ちにしております!!! (2019年12月11日 1時) (レス) id: 72fefee69b (このIDを非表示/違反報告)
らい - 面白い........!これからも更新頑張ってください。応援しています。 (2019年8月9日 2時) (レス) id: 3b0d55ccc1 (このIDを非表示/違反報告)
チューリップ - 織田さんの成り代わりある様でないですよねぇ〜。更新待ってまーす (2019年4月4日 1時) (レス) id: 8fad14733d (このIDを非表示/違反報告)
ひな - とっても面白いです!更新楽しみにしています。頑張って下さい! (2018年12月3日 15時) (レス) id: 81fb36e344 (このIDを非表示/違反報告)
世桜 - 凄く面白くて、一気読みしました!!細かな心情が描かれていて、続きが気になります。更新心待ちにしています。頑張って下さい! (2017年4月10日 0時) (レス) id: f27162b486 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:まあじ | 作成日時:2016年6月12日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。