黄色い光 3

104.勝たなきゃ終わるだけ ページ9

【……】
「気になる子はいた？」
【下忍相手に気になるも何もねぇよ】
「ふぅん」


その割には真剣に見てる気もするけど…
次の試合も順調に勝ち続け、優勝争いも大分絞られてきた
勉強になる戦術ばかりで見てて楽しいけど、秘伝忍術とかはズルいと思う
歴史の長い家系は良いねぇ
誰とかは言いませんが


「だが！私は秘伝忍術さえも凌駕してやるぞ！」
「…何息巻いてンだよ、A」
「おぉ！シカクお疲れ！準決勝進出おめ〜」
「ギリギリな」


とか言ってもキレッキレの頭脳戦術で倒してた事を私は知ってるぞ！見てたからな！
奈良一族に伝わる秘伝忍術 《影縛りの術 》 はいつ見ても厄介な上、回避しても持ち前の頭脳で結局追い詰められてる
ハッキリ言ってシカクとは相性が悪い気しかしない
あぁ見えてシカクの性格の悪さは酷いものだからな
良い意味で


「…オマエ絶対今バカにしてただろ？」
「シカクの性格の悪さを酷評してた！」
「へいへーい知ってるっつーの！つか、随分余裕だな」
「なんで？」
「つぎ」


「準決勝ーー西条Aと波風ミナトは前へ！」


「！」


シカクの事よりも今、目の前の事に集中しなければ…
予想はしてたけど、まぁ結局こうなっちゃう訳で…


「……勝算はあるのか？」
「勝たなきゃ終わるだけだよ」


同期だからお互いの技量が何となく分かっちゃうし、手の内だってこれまでを振り返れば分かってしまう
勝たなきゃ終わる
もしかしたらーーー
なんて望みはいらない


【A】
「……ん？」
【自分が今すべき事だけ考えろ…余計なことは考えなくていい】
「…分かってる」


分かってる
気負うことはない
自分が今すべき事
なることは、中忍だ
だからーーー


「今回ばかりは勝たせてもらうよ…ミナト」
「…、Aだからと言っても譲れないよ…火影に近づけるチャンスだからね」


ミナトへの勝機は強みのスピードをどう対処するのか、が決め手だ
ミナト対策って訳でもなかったけど、いざって時に必要になると思って修行してきたモノがあるけど実戦で通用するのか、は正直自信がない
けど、出来なきゃ勝機は薄い
勝ちたいんだ、ミナトに…
勝って私は中忍になるんだ！

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