黄色い光 3

128.逃げる為の口実 ページ33

「つ、かれーたぁああっ！！」
【おか…っと、しゃんとしよなー】
「ぁ！にゃん太〜待ってよーっ」


２、３日の予定が４日までずれ込んでしまったが、漸く任務を終え家の玄関で生き絶えた
あの日以来少しはモヤモヤした気持ちは忘れられた
任務にも支障が起きたらイケないし…
玄関で倒れ込んでいる私を無視して、出迎えてくれたハズのにゃん太はスタスタと家の中へ戻って行った
少しは構えよ！


ｺﾝｺﾝ


「………」


ｺﾝｺﾝ…


「…Aいる？」
「！」


反応するのも面倒だし、居留守を決め込もうとした矢先に掛けられた声
その声の主にザワつきと疑問がグルグルと回った
どうしてーー？


「……いきなりどうしたの？ミナト」
「！ ぁ、その…今まで任務だった？何度も来たんだけど…」
「…うん、今帰って来た所」


ドア越しに向けた返事
今さらどんな顔で会えば良いのか分かんなくなってきた
声だって…私に最後に向けられた言葉すらもう、覚えてもいない


「それで…話って？」
「……直接…話したいんだけど…ダメかな？」


ｶﾞﾁｬｯ


「…手短にお願い…疲れてるから」


断る理由も見当たらず、ドアを開けた
疲れてる、そんな言い訳しか言えない自分が情けない
疲れを逃げの口実にしてーー


「来週…自来也先生と一緒に修業の旅に出るんだ」
「！」
「それで…いつ帰ってくるかは分かんなくて…先生は二、三年って言ってたけど」
「……そっか、」


突然の報告に動揺はしたけど、不思議と直ぐに落ち着いた
心配とか焦りとかそんなのは全然無かった
無かったんだ


「…随分と急な話だね…前から決まってたの？」
「うん…先月から行くことは決めてて…いつAに言おうか、って悩んでたらこんな急な感じになっちゃって…ごめん」
「ミナトが謝ることないべさ」


別に報告とか一々して欲しいなんて言ってもいないのに…
そんな変わらないミナトの優しさが少し可笑しかった
それと同時に魔が差した

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