出会い ページ16
.
日も暮れて、妖怪たちの時間…夜へとなった
「姉様…お休みにならないのですか?」
「…今日はもうしばらく起きてる。
だから珱は先に休んでいるといいぞ」
「そうですか…」
私たちは幼き頃より寝所を共にしている
だから休む気配のない私に珱はそう尋ねたのだろう
「では…お先に失礼しますね、姉様」
「えぇ。おやすみ」
「はい」
そう言って一人寝所へ向かった
私は一人部屋で月夜を眺める
「…祢々切丸、か」
部屋に置いている先程貰った護身刀
本来なら枕元にでも置いているべきなのだろうが、珱が枕元に置くのは気が休まらないと言いここに置いてるのだ
それを手に取り、少しだけ鞘をずらして刀身を眺めてみる
貰って以来、未だ使ったことの無いこの刀
使わないにこしたことは無いが、月光に反射して輝く刃は美しく波紋を映し出し名刀というの思わせた
そしてふと思い出したのは昼間の父上のこと
「……昔の父上は、それなりに好きだったのだがな」
母がいた頃の話だ
私は男嫌いの節があるが父は美しい母を愛し、私や珱もまた心より愛してくれていた
前世では女しかいないアマゾンリリーで育ち、外に出たと思えば奴 隷にされた
そして天竜人共に姉妹揃って面白い玩具として痛めつけられ、苦しめられ
ただでさえ男が苦手だったというのにあれ以来男は汚らしい生き物であるという概念が根強く私の心に植えついた
それでも、また新たなこの人生で少しだけ男に免疫ができて、父という存在にも慣れて身も心も満たされていたというのに
なぜこうなってしまったのか
「はぁ」
「思いつめた憂い顔がこれ程月夜にはえるとはな」
「!誰だっ、くせも…」
不意に聞こえた声にハッとする
この部屋には、己しかいないはず
気が抜けていたようだった
いつもならば目に見えなくとも覇気で気づいていたはずなのに、感傷に浸ってこんな気配にも気づけないとは
部屋の中から声がして祢々切丸を振り返りながら鞘から抜こうとすれば後ろから顎を掴まれ、不快なることに押し倒されてしまった
しかし祢々切丸の鞘はその拍子に落とし、抜身となる
「っ…」
「成程、噂どおり絶世の美女だ。ワシはお前が欲しい」
私の目に映ったのは、煙管をただくわえただけの銀にも見える金の髪を持った美しい妖怪
.
380人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
カリディア(プロフ) - 最高です!続き楽しみに待ってます!頑張ってください! (2019年7月25日 21時) (レス) id: dddfdc4b55 (このIDを非表示/違反報告)
ポケモンラブ(プロフ) - 応援してます! (2019年7月17日 22時) (レス) id: 90acc880a8 (このIDを非表示/違反報告)
江(プロフ) - ポケモンラブさん» コメントありがとうございます!更新頑張ります! (2019年7月17日 21時) (レス) id: 9e3e8858ee (このIDを非表示/違反報告)
江(プロフ) - ゆりさんさん» コメントありがとうございます!これからもよろしくお願いしますm(*_ _)m (2019年7月17日 21時) (レス) id: 9e3e8858ee (このIDを非表示/違反報告)
ポケモンラブ(プロフ) - 続き気になりすぎてやばいから更新お願いします! (2019年7月17日 16時) (レス) id: 90acc880a8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:江 | 作成日時:2019年7月6日 17時