【◇】 年上のカレ、誘惑中。

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カーンカーンとノックの音を聞きながら



選手たちのドリンクを作る






「七瀬、お疲れ」

『あっお疲れ様です！』






作りかけのドリンクを持ちながらお辞儀を
すると、




亮介さんの後ろにいる倉持先輩に気づいた







「お疲れ」

『お、お疲れ様です……』

「………今日は髪結ばないの」

『あー、ゴム忘れちゃったので』

「ふーん」






亮介さんの指が私の髪の毛を一束掬い取り、




くるくると遊び始める








………倉持先輩のオーラが怖いのは何故







「この前みたいに結べばいいのに」

『確かに楽ですけど、
私似合わないんですよねー……』

「そんなことないよ。
この前もなかなか可愛かったし」

『そ、そうですかね？』






亮介さん、さすがに近いです




後ろの倉持先輩の視線が痛くて怖いです






「もっと自分に自信持ちなよ。
七瀬は可愛いんだから」

『ありがとうございます……っ』

「ん、いいこ」







髪を弄んでた指を滑らせ、



そのままわしゃわしゃと頭を撫でられた






そんな私たちを無言で見つめる倉持先輩








「……俺、フリーバッティング行って来ます」

「あ、そ」

『ぇあっ………倉持せんぱ』


「どうぞ2人で仲良くしてて下さい」







そう低い声で言い放つと、




いつも以上に眉間にシワを寄せて
ベンチを離れて行った






『りょ、亮介さん……っ！』

「なに」

『あれはさすがにやりすぎだったんじゃ
ないですか！？』

「そーゆー作戦でしょ。今更なに言ってんの」

『うっ……』








それは……そうだけど……







遠ざかって行く倉持先輩の背中が







なんだか寂しそうに見えた







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