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様子を伺うような2人にうつむきながらユカはそう言った。
ユカ「出来ることなら戦いを長引かせずに巻物を手に入れたいの。」
ミサキ「私もそうしたいとは思うけど・・・そんなに簡単にいくかしら?」
シュウル「でも確かにユカの言う通り、もう夕方だし、戦いは早いにこしたことないよな。」
ユカ「ユカなら大丈夫だから、一緒に戦わせてくれない?」
普段なら2人の意見を飲むところだが、ユカは戦いを長引かせないため、3人で戦いたいと言った。
ミサキ「そうよね。仲間はずれみたいなこと言ってごめんね。」
シュウル「俺たち3人でチームだもんな。」
ユカ「2人とも・・・!」
シュウル「近くにいるやつがどっちの書を持ってるかは知らねーが、俺ら3人なら瞬殺だ!」
ミサキ「うん。作戦はユカに任せるわ。でも無理はしないでね。」
ユカ「はーい。」
そうして3人は笑い合い、戦うかもしれない敵がいる方向へ走り始めた。
しばらく走ると日が暮れてきて、視界がだいぶ悪くなってきた。
ユカ「ハァ・・・。」
ユカはシュウルとミサキの後ろについて賢明に走っていた。
急がなきゃいけないってわかってるのに息がすぐに荒くなって・・・だんだん2人との距離が開いてく。体が重くて・・・視界が霞む・・・フラフラする・・・意識が遠くへ持って行かれる・・・ダメ・・・。私がみんなを守らなくちゃいけないのに・・・。
そんなことを考えていた記憶はあったが、それ以降のことをユカはあまり覚えていなかった。気づいた時にはユカは目を閉じていた。周りから聞きなれない声がして、ユカは目を開けた。するとそこにはシュウルやミサキではなく、思わぬ人物たちがいたのだ。
ユカ「ん・・・。」
ヒナタ「あっ。・・・えっと・・ユカちゃん・・・大丈夫?」
ユカ「・・・ヒナタ・・・ちゃん・・・?」
ヒナタ「うん。」
なんと目の前には第8班のヒナタだった。後ろにはキバとシノもおり、ユカは横たわっていた。上空には天井がある。ここはどこかの室内のようだった。ユカはなぜ自分が寝ていたのか、ここはどこなのか、何も理解できなかった。
ユカ 「え!?」
少しの間をおいて第二試験の途中だと思い出したユカは体を起こした。
どうしてユカは・・・?
しかしその途端、激しい頭痛と目眩に襲われた。体も重く、吐き気もする。ユカはあまりの痛みに頭を抑えた。
ユカ 「うっ・・・頭、痛い・・・。」
ヒナタ 「ユカちゃん。急に体を起こしちゃダメだよ・・・!」
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作者名:らむ | 作成日時:2021年1月26日 1時