【国木田独歩】理想とは程遠い恋【文スト】

第26話 ヒントと私の気持ち ページ27

･･･今日は厄日だ。

国木田さんと死にかけそうにはなるし、怒られるし。
･･･挙句の果てに、先輩には脅されるし。


太宰「さあ、Aちゃん。この映像を皆に見られたくなければ、私の質問に答えるんだ！」


･･････この外道！


思わずそう叫びたくなるのを我慢する。

流石に私もお店で大声を出す程に下品ではない。


『分かりましたよ･･･。で、質問って何ですか？』

太宰「ふふふ･･･。単刀直入に訊こう。君は、国木田君の事をどう思っているんだい？」

『く、国木田さんの事･･･？･･･どうって･･･』


どう、なんだ？

前まではただの先輩としか思ってなかった。
･･･けど、今は？

本当に、ただの先輩だって云える？

ぐるぐると頭の中が混乱し、私は黙ってしまう。


太宰「･･･少しヒントをあげようか。さっきのやり取りで、君はもう答えを見つけているよ」

『もう、答えを見つけている･･･？』


さっきのやり取り･･･。



________『私は、大切な人が傷つくなんて、厭なんです』



『あっ･･･』


顔が紅潮するのが分かる。

･･･そうか、そうだったんだ･･･。


太宰「分かったようだね。･･･君は国木田君の事をただの先輩以上に思っている筈だよ」

『ただの、先輩以上･･･』

太宰「「大切な人」だなんて、ただの先輩には使わないもんねえ」


目の前で楽しそうに笑う太宰さんを、私は見ている事しか出来なかった。


･･･だって、自分の気持ちでいっぱいいっぱいで、太宰さんに言葉を返す余裕も無かったから。


私は、国木田さんを大切な人･･･。
好きだと、思っているんだ。

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