57:家族 ページ8
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『父さん、征十郎がインターハイで優勝したそうですよ』
「そうか」
相変わらず、空気の悪い夕食の時間だった。
会話もなく、ほとんど音もない。
Aが征十郎の話をしても、その程度の反応。
ため息が出そうになったが、それをしてしまえばまためんどくさいことになりそうだから堪えた。
父親が征十郎を褒めないのは分かっていた。
だってその勝利は当たり前だから。
赤司として、敗北はありえないから。
インターハイ優勝がどれだけ栄光あることかも知らないくせに。
征十郎がどれだけ努力して、どれだけ追い込まれたかも知らないくせに。
本当は今すぐにも席を立って部屋から出たかったが、父の機嫌を損ねないためにもそれは控えようと思った。
毎日そうだ。毎日、うんざりしている。
「A。お前にバスケットは向いていない。無駄なことに時間を割くならば、もっと極められることに時間を使いなさい」
『時間は有限だから、ですか？』
昨日も同じ話をしただろう、と呆れた。
父は、Aに対しては諦めていた。
征十郎ほど言うことを聞かないし、反論だってする。
その上、体のことで手がかかる。
諦めているからこそ、名を汚さない程度の行動なら自由にさせていた。
だが今になってまたバスケのことを口にしたのは、先日の入院が原因だろう。
本当は興味がないくせに、思い出したかのように言われるから、気分が悪かった。
こんなんだから征十郎はああなったんだよ、と心の中で毒を吐く。
『父さんの言うことはもっともです。でも、不向きなことがやめることとは結びつきませんよ』
「……そうやってまた口答えを」
『赤司の顔に泥を塗るようなことはしません、もちろん。たけど、オレも征十郎もあなたのモノではない』
「A。それが父親に対する態度か」
『この態度が誤りだと思うのは父さんの考え。これはオレが思う、あなたに対する正しい態度ですよ』
征十郎は絶対に口答えをしない。
それはきっと正しい。
けれど、正しくあって欲しくなかった。
だからAは本心を言う。
部屋を出るとき、背後からため息が聞こえた。
知ってるよ、扱いづらいだろうオレは。
舌打ちをしたい気分で、Aは足を進めた。
自分が人より手がかかっていることは知っている。
体のことで面倒をかけていることだって知っている。
感謝していないわけではない。
でも、これは違う。
こんなものが正しい家族の形であっていいわけがないだろう。
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ちさ子(プロフ) - 明後日打ったんで誤字になってて恥ずかしいです〜！！こちらこそレスありがとうございます！ (2019年12月19日 9時) (
レス) id: 62cdfd78f2 (このIDを非表示/違反報告)
ぽん、(プロフ) - ちさ子さん» あわわわコメントありがとうございます！！ありがたいお言葉で頑張れます！ (2019年12月18日 16時) (レス) id: 97d132fcbf (このIDを非表示/違反報告)
ちさ子(プロフ) - すごか面白くて、一気に読みました！！続き楽しみすぎて眠れないです笑笑 (2019年12月18日 3時) (レス) id: 62cdfd78f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽん、 | 作成日時：2019年6月1日 0時
