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雨。
またしても、雨。
秀徳との試合はそう、この前もこうだった。
「火神君……さっき入場の時、緑間君の顔見ましたか？」
「…ああ」
試合直前。
そうでなくとも緊張するこの時間、彼らは緑間の表情を見てより一層気を引き締めた。
『キセキの世代は無敗ゆえにどこかスマートさを残している。でも、だからこそ、なんだよ』
本来、生物にとって勝利は生、敗北は死を意味する。
たとえそうでなくとも、人間の反応にはそれが残っている。
負けたことがないから、ずっと勝ち続けていたから。
だからこそ、渇望するのだ。
Aも同じキセキの世代だからこそ、それを理解する。
『敗北を知った真太郎は、勝利に飢えるんだ』
「オマエもそうか？」
『理解はできる。でもね、オレは慣れちゃってるから少し違うかも』
火神の唐突な質問に、Aはさらりと答えた。
呆れたような表情で、僅かに悲しそうに。
慣れている、それは敗北になのだろうか。
彼だって無敗であったことに変わりはない。
何しろ誠凛が敗北した時、Aは不在だったのだ。
それならば一体何に慣れているというのだ、と黒子は思う。
そしてすぐに、理解する。
彼は生まれてからずっと、追いかける方の立場だったのだから。
『テツヤ、今のは冗談みたいなものだよ』
「…そう、ですかね」
『オレがそう言うんだからそうじゃない？』
バシッと背中を叩かれたから、黒子も同じく返した。
大袈裟に痛がるAを見て、これ以上は触れないようにしようと思った。
過去を話す時が来れば、きっと彼の事情も公になる。
今はまだ、黒子とA、そのお互いが互いのことを知っていれば十分なのだ。
今度はちゃんと、支え合えるのだから。
「……悪いな、今はオマエに構っているゆとりがない」
『良いよ、わかってる』
着々と時間が過ぎる中、緑間とAが視線をかわす。
緑間の表情に固唾を飲んだAだが、また何か、違うものを感じた。
『聞き流してくれて良いけど、真太郎。オレは今のオマエが好きだよ』
「……気持ちの悪いことを言うな」
違和感、簡単にいえばそれだ。
だがAには、その違和感がどこか嬉しく感じた。
何がどう変わったかなんて、知りようがないのに。
整列をして、挨拶をした。
応援の声が、体育館いっぱいに響いていく。
長く息を吐いて、ゆっくり吸う。
柄にもなく、鼓動が早いような気がした。
落ち着こうと、誰かに似た髪の毛を触った。
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ちさ子(プロフ) - 明後日打ったんで誤字になってて恥ずかしいです〜！！こちらこそレスありがとうございます！ (2019年12月19日 9時) (
レス) id: 62cdfd78f2 (このIDを非表示/違反報告)
ぽん、(プロフ) - ちさ子さん» あわわわコメントありがとうございます！！ありがたいお言葉で頑張れます！ (2019年12月18日 16時) (レス) id: 97d132fcbf (このIDを非表示/違反報告)
ちさ子(プロフ) - すごか面白くて、一気に読みました！！続き楽しみすぎて眠れないです笑笑 (2019年12月18日 3時) (レス) id: 62cdfd78f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽん、 | 作成日時：2019年6月1日 0時
